ラウエ(英語表記)Laue, Max Theodor Felix von

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ラウエ
Laue, Max Theodor Felix von

[生]1879.10.9. コブレンツ,プファッフェンドルフ
[没]1960.4.23. ベルリン
ドイツの物理学者。シュトラスブルク,ゲッティンゲン,ミュンヘン各大学に学び,チューリヒ大学教授 (1912) ,フランクフルト大学教授 (14) ,ベルリン大学教授 (19) ,ベルリンのマックス・プランク物理化学研究所所長 (51) 。理論物理に秀で,相対性理論,量子論などを研究。特に結晶がX線回折に適していることを理論的に示し,W.フリートリヒと P.クニッピングの協力を得てこれを実証し (12) ,結晶物理学の基礎を築いた。 1914年ノーベル物理学賞を受賞した。

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百科事典マイペディアの解説

ラウエ

ドイツの物理学者。ベルリン大学でプランクに学び,1914年フランクフルト大学教授,1919年ベルリン大学教授。1912年結晶によるX線の干渉の理論を提唱,W.フリードリヒ,P.クニッピングの協力によりX線の回折じま(ラウエ斑点)の撮影に成功(X線回折)。1914年ノーベル物理学賞。ほかに相対性理論や光波の干渉,超伝導などの研究もある。
→関連項目X線結晶格子寺田寅彦ブラッグ

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世界大百科事典 第2版の解説

ラウエ【Max Theodor Felix von Laue】

1879‐1960
ドイツの物理学者。コブレンツの近くにあるファッヘンドルフの生れ。1898年,シュトラスブルク大学に入学,翌年ゲッティンゲン大学に移り,W.フォークトの影響をうけて理論物理学に進んだ。さらにミュンヘン大学を経てベルリン大学に学び,O.ルンマーの影響で光学理論に関心をもつ。1903年M.K.E.L.プランクの下で学位を取得,05年プランクの助手となり,エントロピー概念の光学理論への導入研究やアインシュタインが提出したばかりの相対性理論の研究を行った。

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大辞林 第三版の解説

ラウエ【Max von Laue】

1879~1960) ドイツの理論物理学者。結晶体による X 線の回折現象を発見、 X 線の波動性と結晶の格子構造とを実証した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ラウエ
らうえ
Max Theodor Felix von Laue
(1879―1960)

ドイツの理論物理学者。コブレンツの近郊に生まれる。ストラスブール大学およびゲッティンゲン大学で学び、ベルリン大学でルンマーの講義を聞いて光学に興味をもつとともに、プランクに師事して1903年に学位を得た。1905年プランクの助手となり、輻射(ふくしゃ)場のエントロピーに関する理論や、相対性理論の研究を行った。1909年にゾンマーフェルトが指導するミュンヘン大学の理論物理学研究所の私講師となった。
 ここで、X線が波動であることを証明するために、結晶の分子がつくる空間格子でX線を回折させることを思い付き、フリードリヒWalter Friedrich(1883―1968)とクニッピングPaul K. M. Knipping(1883―1935)が実験を行い、そこで生じる回折像をラウエが解析するという研究を1912年に成功させた。この研究がブラッグやモーズリーらを刺激し、X線分光学による原子構造の解析に道を開いた。「結晶によるX線回折の発見」により1914年ノーベル物理学賞を受賞した。1912年チューリヒ大学の員外教授、1914年フランクフルト大学教授を経て、1919年ベルリン大学教授となり、1943年まで在職した。この間、X線や電子線の結晶による回折、超伝導、光学、相対性理論、熱力学などの古典的研究を数多く行った。また、この時期、マイスナーWalther Meissner(1882―1974)が超伝導の実験を行っていた国立理工学研究所の顧問も務めた。
 ナチス政権下では、その政策に批判的で、ナチスの迫害を受けた科学者の救済や、亡命の援助に努力し、自らはドイツにとどまって、ナチス政権崩壊後の科学界の再興に備えた。
 ドイツ敗戦後、他の著名な科学者とともに、しばらくイギリスに連行されたが、帰国後、ハーンらとともに旧西ドイツのドイツ物理学会や国立理工学研究所の再建、カイザー・ウィルヘルム協会を改称したマックス・プランク協会の再興に努めた。1951年ベルリンのマックス・プランク協会フリッツ・ハーバー研究所長に就任、交通事故により80歳で死去するまでその任にあった。[川合葉子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ラウエ

(Max von Laue マックス=フォン━) ドイツの理論物理学者。結晶体によるX線の回折を研究して、X線の電磁波としての性質を確かめ、また結晶解析学を開拓した。一九一四年ノーベル物理学賞受賞。他に超伝導に関する研究など。(一八七九‐一九六〇

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世界大百科事典内のラウエの言及

【X線】より

…さらにこの報告はアメリカの《サイエンス》にも掲載され,またたく間に世界中に知れ渡り,人間も骸骨として写るという衝撃的な事実は当時の漫画などにもとり上げられたほどである。 X線が強い透過力をもち,磁場によってもその進行方向が曲げられないことなどは発見当時からわかっており,その本性が光と同じ電磁波ではないかという考えも比較的早くから存在していたが,それが明らかにされたのは,1912年,M.vonラウエが結晶によるX線の回折現象を発見してからであった。 一方,X線の発見およびその研究は物理学の進歩に大きな波及効果を及ぼした。…

【固体】より

…このような結晶構造は,X線,電子線,中性子線をあててその透過や反射のようすを調べることによって知ることができる。M.vonラウエは,1912年にX線回折によって,結晶では原子が規則正しく配列していることを初めて実証したが,近代的な固体の物性に関する研究はこのときに始まるといってよい。結晶
[結合力による固体の分類]
 固体を分類するのに,上記の幾何学的分類以外に,結合の性質とか物理的性質によっても分類することができる。…

【固体物理学】より

…対象とする系は,規則的な原子配列を無限の領域にもつ完全結晶から,不純物,格子欠陥などを含む不完全結晶,さらにガラス,非晶質半導体,スピングラスなどの不規則固体に至るまで多岐にわたっている。近代的な固体物理学は,1912年にM.vonラウエが結晶内の原子の規則的配置をX線を用いて実験的に検証する方法を発見したときに始まる。現在ではX線,電子線,中性子線を用いて固体内および固体表面の原子配列あるいはスピン配列を調べる方法は,固体物理学における重要な研究手段の一つとなっている。…

※「ラウエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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