翻訳|Lao
タイ諸語の一つでラオスとタイに分かれて住むラオ族の言語。ラオスでは公用語となっている。ビエンチャン方言とルアンプラバン方言を標準とする。広義にはラオス最北部やタイの東部,北部で行われるラオ語を含めるが,これを区別してユアン語Yuanと呼ぶこともある。こちらはチエンマイ方言が代表的である。ラオ語とユアン語の差異は小さいが,文字が別であるほか一部の音韻対応が異なる。例えば〈ぞう〉はラオ語でsaaŋ,ユアン語でcaaŋという(ちなみにタイ語ではchaaŋ)。一方,タイ祖語の語頭子音群はラオ語,ユアン語とも消滅した。例えばタイ語のplaa〈魚〉はpaaとなった。またñを保存する反面,chとrを欠く。声調はともに6種。文法はタイ語とまったく同じで〈主語+述語+目的語〉と〈被修飾語+修飾語〉が基本語順である。語彙はタイ語に比べて借用語の割合が低く,祖語の古形を多く残している。ラオ語とタイ語はきわめて近い関係にあり,13世紀以前は同一言語であったと推定される。
執筆者:松山 納
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…タイの北部,東北部からラオスにかけて分布するタイ系の民族。タイ北部のピン川流域のラオ族はユアン語(北ラオ語)を話し,モン文字の系統をひくユアン文字を使っていたためユアン族Yuanとも呼ばれる。一方,ラオス,東北タイのメコン川流域に居住するラオ族は東ラオ語を話し,クメール文字の系統をひく東ラオ文字を使っている。これが狭義のラオ族である。前者が腹に入墨を施す風習をもっていたことから,かつてはこれをラオ・プン・ダム(腹の黒いラオ族),後者をラオ・プン・カーウ(腹の白いラオ族)と呼んで区別していた。…
※「ラオ語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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