広く一般に「危険を避けること」をさし、死亡、事故、失業など、不慮の事態に備えて保険に入ることもリスクヘッジの一種である。株式や外国為替(かわせ)商品などの資産運用分野では、分散投資してリスクを抑えることを意味する。
投資の世界では、「卵は同じ籠(かご)に入れるな」の格言どおり、資産を分散することがリスクヘッジにつながると経験上知られていた。たとえば、株式相場の下落局面では、先物取引で空売りするなどの反対売買が有効であるとされてきた。アメリカ人のノーベル経済学賞受賞者、H・M・マルコビッツはリスク(収益率のばらつき度合い)とリターン(収益率)を統計的数値に置き換え、投資先を分散すればリスクヘッジできることを数学的に証明した。
以後、マルコビッツの理論は近代ポートフォリオ理論として発展。金利変動、為替変動、信用、流動性、地政学的などの各リスクに対し、収益率が反対方向に変動する(相関係数がマイナス1に近い)投資先を組み合わせることで、リスクヘッジする手法が開発された。ただ近代ポートフォリオ理論は統計学に基づいており、2008年のような予想を大きく超える経済危機時にはヘッジ機能が働かず、限界があることもわかっている。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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