改訂新版 世界大百科事典 「リュウガン」の意味・わかりやすい解説
リュウガン (竜眼)
longan
Euphoria longana Lam.
ムクロジ科の常緑樹。レイシと可食部は類似している。乾果は竜眼肉と称し,漢方薬として重用される。樹形は開張性で樹高は10mに達する。葉は偶数羽状複葉。花は直径6mmほど,花弁は黄白色。雄花と完全花が混在する円錐花序に多数つく。果実は径2~3cm,5gほどで,10~20個が集まり房となる。果面は淡褐色でジャガイモの表皮に似ているが,やや硬く殻のようである。暗褐色の種子を包んだ仮種皮arilが可食部であり,乳白色でブドウ果粒より硬く,コリッとした感覚と特有の風味がある。古来から栽培範囲が広く原産地は特定できず,中国南部からインドにわたる地域のいずれかである。亜熱帯果樹として,日本でも鹿児島,沖縄,八丈島に栽培されている。生食,乾果用それぞれに品種がある。砂糖漬,缶詰もあり,果肉はアデニン,コリンを含む高栄養食品であり,強壮剤,鎮静剤としても有名である。
執筆者:岸本 修 竜眼は,《後漢書》南匈奴伝に単于(ぜんう)への貢ぎ物の中に〈竜眼茘枝(レイシ)〉がみえるから,2000年前ころから栽培されていたと思われる。伝説によれば,福建興化の桂元という若者が害をなす悪竜を退治して犠牲となるが,えぐり取った竜の両眼を彼の墓にいっしょに葬ると,2本の大木が生え実をならせたので,この実を竜眼というようになった。桂元,桂円とも呼ぶ。乾燥させた果肉は花,葉,種子とともに薬剤として利用される。
執筆者:鈴木 健之
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