リープクネヒト(Karl Liebknecht)(読み)りーぷくねひと(英語表記)Karl Liebknecht

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リープクネヒト(Karl Liebknecht)
りーぷくねひと
Karl Liebknecht
(1871―1919)

ドイツの社会主義者。8月13日ウィルヘルム・リープクネヒト次男として生まれる。ライプツィヒベルリン両大学で法学、経済学を学び、弁護士となる。1900年ドイツ社会民主党入党、1906年反軍国主義演説を行い、翌1907年それに加筆して『軍国主義と反軍国主義』を出版し、反逆罪に問われて1年半の刑を受けたが、出獄後の1908年プロイセン下院議員、1912年帝国議会議員となり、ローザ・ルクセンブルクとともに社会民主党の左翼急進派の指導者となった。

 第一次世界大戦では、党の戦争協力政策に反対、1914年12月には第2回の軍事公債に反対投票を行い、そのため翌1915年党から事実上除名され、また政府からは作業兵として召集された。しかし彼は1916年1月、ルクセンブルクらとスパルタクス派を組織、5月1日のメーデーの日にベルリンのポツダム広場で集会を開き、政府の打倒を叫んで逮捕された。1918年10月、釈放されるとただちにスパルタクス派を率いて活動、ベルリンに革命の起こった11月9日には王宮バルコニーから「自由社会主義ドイツ共和国」の建設を呼びかけたが、革命の主導権を握ることはできなかった。革命後、社会民主党との協力を反革命として終始反対、12月末にはルクセンブルクらとドイツ共産党創立大会を開いて革命の推進を図ったが、1919年1月の蜂起(ほうき)に参加して捕らえられ、同月15日、ルクセンブルクとともに政府軍によって虐殺された。

[松 俊夫]

『中村丈夫他訳『スパルタクス書簡』(1971・鹿砦社)』

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