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ルグラン Michel Legrand

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大辞林 第三版の解説

ルグラン【Michel Legrand】

1932~ ) フランスの映画音楽家・ピアニスト。代表作「シェルブールの雨傘」「女と男のいる舗道」「おもいでの夏」など。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ルグラン
るぐらん
Michel Legrand
(1932― )

フランスの映画音楽作曲家、指揮者、ピアニスト、アレンジャー、歌手。パリ生まれ。同国の映画音楽作曲家としてフランシス・レイFrancis Lai(1932― )と並び称される。ジャズミュージシャンとしても活躍。指揮者、アレンジャーだった父レイモンルグランRaymond Legrand(1908―1974)は『裁きは終わりぬ』(1950)などの映画音楽でも知られる。アルメニアフランス人の母親は楽譜出版社を経営。姉クリスチアーヌ・ルグランChristiane Legrand(1930―2011)は歌手で、アカペラ・グループのスウィングル・シンガーズの初代メンバーとして知られる。ミシェルは幼少からピアノをたしなみ、10歳でパリ音楽院に入学。同音楽院でナディア・ブーランジェNadia Boulanger(1887―1979)に作曲を7年間にわたって師事。1947年、ディジー・ガレスピーコンサートを聴いてジャズに開眼。パリ音楽院を首席で卒業したが、クラシック音楽家としての職が得られず、1950年代はさまざまなシャンソン歌手のために編曲・指揮を手がける。映画界に通じていた父レイモンの紹介により、1954年には最初の長編映画音楽『過去をもつ愛情』を作曲。モーリス・シュバリエ一座の舞台監督を2年間務めた後、1956年にシュバリエ一座のアメリカ公演に同行して初渡米。ニューヨークレコード会社と交渉の末、リーダーアルバム『ルグラン・ジャズ』(1958)をマイルス・デービスなど超一流のジャズ・ミュージシャンとともに録音、ジャズ界に大きな反響を巻き起こした。
 1960年代、ヌーベル・バーグの到来とともに映画音楽作曲の依頼も格段に増えたが、なかでも重要なのはジャック・ドゥミ監督との30年近くにおよぶコラボレーションである。1961年、ドゥミの監督デビュー作『ローラ』の音楽の作曲を依頼されていたクインシー・ジョーンズが降板したため、ドゥミの妻で映画監督のアニエス・バルダAgns Varda(1928― )の強い説得によりその作曲を引き受ける(同年、バルダ監督作『5時から7時までのクレオ』の音楽も作曲)。意気投合したドゥミとルグランは映画用オペラを書き下ろすが、撮影資金を捻出するため、1年間ほぼ毎日のように映画会社をわたり歩いてオペラの試演を続けた。完成した『シェルブールの雨傘』(1964)はカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞など数多くの栄誉に輝いたが、もはや映画音楽というより20世紀が生み出したもっとも重要な劇音楽の一つとみなされていることは、世界各国での舞台版上演の記録をみれば明らかである。この成功の後、ドゥミとルグランは同様の手法で『ロシュフォールの恋人たち』(1966)を発表、より色彩的でジャズ・ミュージカル的な表現を試みた。
 この2作と『ロバと王女』(1970)を合わせた3作が、ドゥミとルグランの音楽劇の頂点である。ほかにジャン・リュック・ゴダール監督がルグランのミュージカル作家としての側面に注目し、『女は女である』(1961)と『はなればなれに』(1964)の2作で興味深い共同作業を残している。1967年に本格的なハリウッド進出を決意、旧友クインシー・ジョーンズの紹介で作詞家のアラン・バーグマンAlan Bergman(1925― )、マリリン・バーグマンMarilyn Bergman(1929― )夫妻と知り合う。ルグランとバーグマン夫妻の手になる『華麗なる賭け』(1968)の主題歌「風のささやき」がアカデミー最優秀主題歌賞を受賞。のちにバーブラ・ストライサンドの初監督作『愛のイェントル』(1983)でもバーグマン夫妻とコンビを組み、アカデミー最優秀歌曲賞、編曲賞を受賞した。このほか、ジャズ・イディオムを印象派風のオーケストレーションのなかに昇華した『おもいでの夏』(1970)でアカデミー最優秀作曲賞を受賞。フランシス・レイと共作した『愛と哀しみのボレロ』(1981)で20世紀のあらゆる音楽ジャンルを総括する力技をみせた。
 ルグランほど歌が自然にあふれ出てくる音楽家も珍しい(自作自演のコンサートでは、必ずといってよいほど歌いだす)。正統的なクラシック教育とビ・パップの真髄をあわせもつ、音楽史上稀(まれ)にみるハイブリッドな感性に裏打ちされたルグランの映画音楽が、数多くの主題歌とともに後世に語りつがれることはほぼ間違いない。
 クラシック指揮者としても欧米の主要なオーケストラに客演指揮を重ねているほか、エリック・サティのピアノ演奏には定評がある。1989年、初監督作『6月の5日間』Cinq Jours en Juin(日本未公開)を発表。初の舞台音楽劇『壁抜け男』(1997)は日本でも上演された。来日回数もきわめて多い。[前島秀国]
『濱田高志監修、杉原賢彦編『Artisan de la Musique ミシェル・ルグラン』(2002・愛育社)』

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