ガレスピー

百科事典マイペディア 「ガレスピー」の意味・わかりやすい解説

ガレスピー

米国ジャズトランペット奏者,作曲家。1940年代のモダン・ジャズ界に起こったスイングからバップへの移行を主導したジャズ史上の重要人物の一人。それまでの大衆音楽としての一面を持つジャズから,より高度で進歩的なジャズへの転換を模索した。ラテン音楽リズムを,ジャズに取り入れようとしたことでも知られている。ロイ・エルドリッジRoy Eldridge〔1911-1988〕に影響されたトランペットの演奏スタイルは,より速くより高くを目標に,非常に高度な技術を駆使した。また作曲家としても,《チュニジアの夜A Night In Tunisia》など多くの曲が,ジャズのスタンダード・ナンバーとして演奏されている。
→関連項目ジョーンズスタンダードデービストランペットパーカーボーンモダン・ジャズ・カルテットモンク

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガレスピー」の意味・わかりやすい解説

ガレスピー
がれすぴー
Dizzy Gillespie
(1917―1993)

アメリカのジャズ・トランペット奏者。本名ジョン・バークス・ガレスピー。サウス・カロライナ州生まれ。1939年キャブ・キャロウェイ楽団に参加して注目され、43年アール・ハインズ楽団に加入。そのころ新しいジャズを目ざし、チャーリー・パーカーらとともにビ・バップ創造、これがモダン・ジャズの基盤になった。抜群のテクニックを駆使したユーモラスな演奏で人気が高い大物。作曲の才も豊かで、『マンテカ』『チュニジアの夜』などの傑作がある。

青木 啓]

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改訂新版 世界大百科事典 「ガレスピー」の意味・わかりやすい解説

ガレスピー
John Birks Gillespie
生没年:1917-93

アメリカの黒人ジャズ・トランペット奏者。愛称Dizzy。スウィング時代の名奏者R.エルドリッジの影響をうけ,1939年キャブ・キャロウェイ楽団をふりだしに有名楽団を転々とするうち,C.パーカーと出会い,新しいジャズ〈ビ・バップ〉の代表的奏者として知られるようになった。45年夏以来しばしばビッグ・バンドをひきい,ラテン・リズムを導入した明るくハッピーな演奏で聴く者を魅了した。抜群のテクニックとユーモラスなパーソナリティ持主で,作曲もうまく《チュニジアの夜》《コン・アルマ》など名作も多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガレスピー」の意味・わかりやすい解説

ガレスピー
Gillespie, Dizzy

[生]1917.10.21. サウスカロライナ,チーロー
[没]1993.1.6. ニュージャージー,イングルウッド
アメリカのジャズ・トランペット奏者。本名 John Birks Gillespie。 18歳でプロ活動を始め,1944年 C.パーカーと組んでバップの中心的人物となり,モダン・ジャズに大きな役割を果した。以後ビッグバンドやコンボを編成して常にジャズ界の第一線にあり,精力的に活動した。あるときその上にすわってしまったために曲ったというトランペットと,道化のような舞台でのしぐさがトレードマーク。作曲も多く行い,代表作に『チュニジアの夜』『コン・アルマ』など。

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世界大百科事典(旧版)内のガレスピーの言及

【ジャズ】より

…20年代のアームストロングがそうであったように,バップを志すすべてのミュージシャンがパーカーを手本とした。パーカーのよき相棒として知られたディジー・ガレスピーは,天才的で外交性に欠けたパーカーと対照的に,ユーモラスな人柄を生かし,マスコミに登場してひろくバップを喧伝した。 バップが論議をよんでいるさなか,一部ジャズ研究家は,ニューオーリンズから1910年代にジャズをやっていた古老たち――トランペットのバンク・ジョンソンBunk Johnson(1879‐1947),クラリネットのジョージ・ルイスGeorge Lewis(1900‐68)らを発見してニューヨークにデビューさせた。…

※「ガレスピー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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