ルリカケス(その他表記)Garrulus lidthi; Lidth's jay

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルリカケス」の意味・わかりやすい解説

ルリカケス
Garrulus lidthi; Lidth's jay

スズメ目カラス科全長 38cm。全体に光沢のある美しい種で,奄美群島奄美大島加計呂麻島請島にのみ生息する日本の固有種。同群島の徳之島にも観察記録があるが,生息は確認されていない。頭部,風切羽,尾羽は美しい紫色を帯びた瑠璃色で,風切羽も尾羽も先端が白い。雨覆羽は瑠璃色地に黒い横縞が密に入る。額と喉は黒く,喉に細かい白色斑がある。背と胸から腹は赤褐色。は象牙色で,脚は紫褐色。常緑広葉樹林,リュウキュウマツ林などの森林に生息するが,人家周辺など林縁の農耕地にもよく姿を現す。雑食だが,ドングリ(堅果)を好む。巣は木の洞やまたのほか,岩のすきま,建物の天井裏などに木の枝やコケなどを積んでつくる。非繁殖期には数羽から 30羽程度の小群で生活する。20世紀初め頃には羽毛をとるため多数が捕殺された。近年では森林の伐採によって生息域がせばめられ,個体数が減少している。1921年に国の天然記念物に指定された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ルリカケス」の意味・わかりやすい解説

ルリカケス (瑠璃橿鳥)
Lidth's jay
Garrulus lidthi

スズメ目カラス科の鳥。全長約38cm。鹿児島県の奄美大島と加計呂麻島,請島に特産の美しいカケスで,額とのどは黒く,頭頂から後頸(こうけい)と胸,雨覆や三列風切,尾は濃紫色,背と腹は栗色である。風切羽と尾羽の先端は白い。くちばしは先半分が黄白色,基部が暗青色,脚は黒い。常緑広葉樹林や林の近くの農耕地などに留鳥として生息している。3~4月に,大きな木の樹洞の中に営巣する。しかし,最近奄美大島では人家の戸袋に営巣するものもある。1腹の卵はふつう3~4個。樹洞や人家に営巣する点を除けば,習性は一般にカケスに似ていて,繁殖期以外は5~6羽の小群をつくり,枝から枝へ飛び移りながらゲェーイ,ゲェーイと鳴く。食物は雑多で,カシシイの実,畑のサツマイモなどを好み,昆虫類もよく食べている。この鳥は羽毛が美しいので,かつては欧米に羽毛を輸出するために大量に捕獲され,一時数が非常に減少した。今日では国の天然記念物として保護されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルリカケス」の意味・わかりやすい解説

ルリカケス
るりかけす / 瑠璃懸巣
Lidth's jay
[学] Garrulus lidthi

鳥綱スズメ目カラス科の鳥。日本の奄美(あまみ)大島と徳之島にだけ分布する。全長約35センチメートル。頭部と翼と尾が光沢のある濃い瑠璃(るり)色で、他の部分は栗(くり)色。ギャーギャーと鳴き、森林から人里まで広く生息する。天然記念物。

浦本昌紀

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百科事典マイペディア 「ルリカケス」の意味・わかりやすい解説

ルリカケス

カラス科の鳥。翼長17.5cm,腹面と背は赤褐色,頭部や翼は濃い紫藍色。奄美大島と加計呂麻(かけろま)島の固有種。深い常緑樹林にすみ,地上と樹上で採食する。雑食性。巣は木の穴の中などに作られる。天然記念物。
→関連項目カケス

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世界大百科事典(旧版)内のルリカケスの言及

【カケス(掛子)】より

…1腹の卵数は4~6個。カケス属には,本種のほかに,奄美大島と徳之島に分布するルリカケスG.lidthi(イラスト)と中・西部ヒマラヤ山地に分布するミヤマコンヨウキンG.lanceolatusの2種がある。なおカケス類という場合は,さらに多くの属の鳥を指すことがある。…

※「ルリカケス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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