レクチン(その他表記)lectin

翻訳|lectin

デジタル大辞泉 「レクチン」の意味・読み・例文・類語

レクチン(lectin)

細胞膜糖鎖結合して細胞凝集反応などを起こす物質

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「レクチン」の意味・わかりやすい解説

レクチン
lectin

赤血球をはじめとする特定の細胞を凝集させる能力をもつ一群タンパク質植物界に広く分布し,とくに種子に多く含まれていて,種子タンパク質の2~10%を占める。一般に細胞の原形質膜には糖タンパク質や糖脂質が含まれているが,これらの糖鎖は膜外に露出している。レクチンはこれらの内の特定の糖鎖に特異的に結合する。例えばコンカナバリンAは糖鎖末端のα-マンノース残基に結合し,麦芽アグルチニンはN-アセチルグルコサミン残基に結合する。ほとんどのレクチンは糖タンパク質であり,4~10%の糖を含んでいる。4個または2個のサブユニットから成り,各サブユニットがそれぞれ糖鎖に対する結合能をもっている。したがってレクチンは多価凝集素として働く。四量体としての分子量は10万以上のものが多い。生理学的機能は明らかではないが,土中細菌に対する免疫役目をはたしているとする説が有力である。
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化学辞典 第2版 「レクチン」の解説

レクチン
レクチン
lectin

糖鎖を認識し,結合するタンパク質の総称.植物の種子から単離されたものが多いが,動物由来のレクチンも知られている.タチナタマメ由来のコンカナバリンA(ConA)は分子量1.04×105(2.6×104×4)の四量体として存在し,マンノースグルコースに親和性を有する.各サブユニットには糖鎖結合部位と Mn2+ および Ca2+ が含まれている.細胞表面の糖タンパク質に結合することにより,細胞を凝集させたり,細胞分裂を誘起したりする活性を有する.小麦胚芽由来の凝集素WGA(wheat germ agglutinin)は分子量1.8×104 のサブユニット2個が集まったもので,キチンオリゴ糖との結合力が強く,N-アセチル-D-グルコサミンN-アセチルノイラミン酸残基を有する膜タンパク質を介して,がん細胞などを凝集させる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「レクチン」の解説

レクチン【lectin】

と結合するたんぱく質の総称。動植物の細胞膜表面にある糖たんぱく質糖脂質と結合し、細胞を活性化させる。豆類じゃがいもなどの一部の野菜、植物の種子や動物の組織液などに多く含まれる。免疫機能を活性化させウイルスや細菌の増殖を防ぎ、風邪などを予防するほか、赤血球の凝集、炎症抑制、肌荒れ改善などに効果があるとされる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レクチン」の意味・わかりやすい解説

レクチン
lectin

細胞膜表面の糖鎖に結合し,細胞凝集や細胞分裂などの反応を引き起こす物質の総称。もともと,植物から数多く単離されたが,特にナタマメのコンカナバリンAは有名。レクチンの種類により認識する膜表面糖鎖も異なり,かなり特異的な細胞反応を引き起こす。コンカナバリンAはT細胞の分裂を誘発する。植物以外にも,昆虫やカニなどに類似活性を持つ物質が発見され,生体防御や組織の発生,分化にかかわっているとみられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「レクチン」の解説

レクチン

 糖と結合するタンパク質の総称.植物,菌類などに存在する.赤血球を凝集させる活性がある.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレクチンの言及

【コンカナバリンA】より

…ナタマメの種子に含まれているタンパク質でD‐マンノース,D‐グルコースと特異的に結合する。レクチン(一定の糖構造と特異的かつ多価的に結合する特性をもつ)の代表例であり,グロブリンの一種で,アミノ酸配列は決定されている。分子量は10万2000(四量体)で1サブユニット(構成単位)あたりマンガンとカルシウム各1原子を含んでいる。…

※「レクチン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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