レーザー光の強い出力と優れた指向性を利用し,形状,性質,濃度,速度や距離など遠方の物体の情報を測定するレーダー方式および装置を指す。ライダーlidar(light detection and rangingの頭文字をとったもの)や光レーダーoptical radarとも呼ばれ,アクティブ(能動的)リモートセンサーの一種である。レーザーパルスを大気中へ送出して,反射波の戻ってくる時間から距離を,受信信号強度から散乱体の濃度・状態を導出し,レーザー・ビームを走査して空間分布を測定する。測距,環境,気象の分野で使用される。紫外・可視・赤外領域のレーザー光と物質との種々の相互作用を利用して,大気汚染物質や微量気体(成層圏,中間圏も含む)濃度や温度・湿度などの気象要素の空間分布,大気構造を測定する。蛍光強度の弱い微量物質の測定では吸収係数の異なる2波長の散乱光を測定する方式(差分吸収ライダー)が用いられる。ドップラー効果を利用して移動体速度や風速の測定も行われている(ドップラーライダー)。連続(CW)光を利用する周波数変調方式(FM-CWライダー)や擬似ランダム変調方式も試みられている。ヘテロダイン検波法を利用するコヒーレントライダーも高感度なライダー方式として研究が進められている。測定場所は地上ばかりでなく,飛行機や衛星も利用される。また湖や海洋の水深やクロロフィルa,油膜など蛍光を出す物質の測定も行われている。
執筆者:竹内 延夫
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レーザー光を使ったレーダーで、ライダーlidar(light radar)ともいわれる。レーザーは狭い範囲に強い光を集中させることができるだけでなく、単色性で、電波のように位相がそろっている。この光は、普通の気象レーダーに比べはるかに小さい粒、エーロゾル(浮遊微粒子、煙霧質。エアロゾルともいう)や空気分子などによる散乱を測定できるので、煙や大気汚染物質の観測にも利用できる。送信と受信には反射望遠鏡に似たものを使用する。
[篠原武次]
『科学技術庁研究調整局編・刊『大気汚染物質測定用レーザー・レーダーの開発に関する特別研究報告書』(1972)』▽『稲葉文男著・刊『レーザー・レーダーの基礎および応用に関する総合的研究』(1975)』▽『笹野泰弘・小林喬郎編『衛星搭載レーザーレーダーによる地球規模大気環境の評価に関する調査報告』1~4(1992~1995・環境庁国立環境研究所)』
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