ロイター(読み)ろいたー(英語表記)Reuters Holdings PLC

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ロイター(通信社)
ろいたー
Reuters Holdings PLC

イギリスの国際通信社。多角的な事業を展開する。おもな業務は、金融市場向けグローバル情報提供、ニュースの配信、金融取引の仲介、リスク管理サービス、ビジネス情報の提供など。一次産品に関する価格指数であるロイター指数も同社の作成になる。
 ロイターPaul Julius Reuter(1816―99)が1849年ドイツのアーヘンで経済通信を始めた。同年、ベルギーのブリュッセルとの間で伝書鳩(でんしょばと)を使った株価情報のやりとりをする通信会社をパリに創設し、翌50年にはブリュッセルに移転。さらにドーバー海峡に海底電線が敷設された51年、イギリスのロンドンに移って通信社を開設した。当初は財界が対象であったが、1860年代までにロイターは、電報会社に依存して内外の通信供給を受けていたロンドンの新聞界にも外信を配信するようになった。1865年に株式会社になったロイターは、王室と政府に無料配信を始めて権威を確立する一方、海底ケーブル通信などの発展に伴い、72年には日本(横浜、神戸、長崎など)、74年には南米で営業を開始するなど、イギリス帝国の植民地やアジア各国に通信網をつくった。ドイツのウォルフ、フランスのアバスの両通信社とニュースの交換協定を結び、イギリスの海底電線網を利用して、20世紀に入ると世界最大の通信社となった。1925年には、地方紙が組合組織として1868年に設立した通信会社プレス・アソシエーション(PA)によってロイターの株式の過半数が買い取られ、41年にはロンドンの新聞発行社協会がPAと所有権を折半するようになったため、ロイターは組合組織となった。その後オーストラリアのAPA、ニュージーランドのNZPAもこれに加入してロイター・トラストを組織し、名実ともに国際通信社となった。第二次世界大戦後は経済ニュースを重視して、1946年南米にあったコムテル通信社を買収(66年ロイターズ経済通信に改組)、64年にはウルトロニック社と提携して、アメリカ以外での市場速報網をつくった。1984年に株式をロンドン証券取引所とアメリカのナスダックNASDAQに上場公開、現社名を採用した。
 金融情報の提供ではアメリカのダウ・ジョーンズDow Jones Tererate、ブルームバーグBloomberg、ナイト・リッダーKnight-Redderと並び世界有数。ニュースや映像の配信でも、AFP(フランス)、イタル・タス(ロシア)、APおよびUPI(アメリカ)とともに世界的な通信社として活動している。1996年には中国人民解放軍系のポケットベル会社と金融情報サービスを開始。1998年にはアメリカの資産運用の大手リッパー社から投資信託評価部門を買収、さらにアメリカの大手銀行持株会社J・P・モルガン(現JPモルガン・チェース)と投資リスクに関する情報提供を行うリスクマトリクス・グループRiskmatrix Groupを設立した。1999年にはビジネス情報データベースサービスを目的としてダウ・ジョーンズと合弁会社を設立するなど経済・金融のグローバル化にあわせた事業展開をしている。
 子会社には、1969年に設立され、30か国以上の顧客に株式取引と調査サービスを提供するインスティネットInstinet社、94年に買収し96年2社に分社したティブコTIBCO社、1982年設立のロイター財団(1999年現在の基金は約300万ポンド)がある。ロイターの顧客は、世界140か国以上(1996)に及び、ロンドンとニューヨークに技術センター、また日本、香港(ホンコン)、スイスに施設を保有する。ロイター・グループの1998年末の発行株式を基準にした総資産は3億5400万ポンド、営業収入は41億ポンド。従業員数約1万7000人(1999)。
 日本には、1872年(明治5)に支局を開設。1985年(昭和60)には子会社のロイター・ジャパンを設立、新聞社や放送局に情報提供業務を行っている。資本金1億円、従業員数約500人(1999)。[伊藤慎一・上川孝夫]
『倉田保雄著『ニュースの商人ロイター』(1996・朝日新聞社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ビル風

高層建築物の周辺でみられる、建物による風の乱れをいう。風向の変化のほかに風速の強弱によって表される。一般には、高層ビルの周辺で吹く強い風をさすことが多い。 風の強くなる場合として次の三つがある。(1)...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

ロイターの関連情報