ロタール1世(その他表記)Lothar Ⅰ

改訂新版 世界大百科事典 「ロタール1世」の意味・わかりやすい解説

ロタール[1世]
Lothar Ⅰ
生没年:795ころ-855

フランク王(在位840-843),西ローマ皇帝(在位840-855)。ルートウィヒ1世長子。817年の〈帝国整備令〉により父の共同統治者となる。824年〈ローマ協定〉を結んで教皇権に対する皇帝権の優位明文化した。830年整備令に反した父の国土分割に抗して反旗をひるがえし,父の死後は全帝国の支配権を求めて2人の弟(ルートウィヒ2世とカール2世)と争ったが,フォントノア・アン・ピュイゼで敗北,843年のベルダン条約で皇帝位と中部フランクの確保にとどまった。855年,ロドビコ2世,ロタール2世,カールの3子に領土を分与して隠棲した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロタール1世」の意味・わかりやすい解説

ロタール1世
ロタールいっせい
Lothar I

[生]795
[没]855.9.29. プリュム
カロリング朝時代の西ローマ皇帝 (在位 840~855) 。カルル1世 (大帝) の孫。ルートウィヒ1世 (敬虔王)と最初の夫人との間に生れた長子。初め父と帝国の共治者となったが,異母弟カルル (のちの西フランク王カルル2世〈禿頭王〉) との所領問題で父王に反逆 (829~833) 。 840年父王の死後,フォントネーの戦いで弟たちに敗れた (841) 。ベルダン条約 (843) で皇帝の称号は得たが,帝国は3分され,みずからは北イタリア,ブルグンド,ロタリンギアを得た。以後,帝国の共同支配体制が始った。 843~845年ノルマンの侵入に悩まされ,領地を3子に分割して没した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ロタール1世」の解説

ロタール1世(ロタールいっせい)
Lothar Ⅰ

795~855(在位840~855)

西ローマ皇帝。ルイ1世(敬虔王)の長子。817年より王国を父と共同統治,のち弟たちと父に反乱(830~833年),父の死に際し皇帝を承認された(840年)。翌年弟ルートヴィヒ(2世,ドイツ人王)シャルル(2世,禿頭王)の同盟軍に敗れたが,ヴェルダン条約で中部フランクを皇帝位とともに獲得した。

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世界大百科事典(旧版)内のロタール1世の言及

【カロリング朝】より

…しかしこのような理想像は,一般には理解されず,さまざまな現実との摩擦を生じた。例えばカール大帝の分国令Divisio Regnorum(806)は,男子すべての相続を認め,帝権への言及は故意に避けたが,ルートウィヒ1世の帝国遺贈令Ordinatio Imperii(817)は,帝権に重点をおき,同時に長男ロタール1世を皇帝および共同統治者としたため,各方面の不満がついには反乱にまで発展した。加えて823年に末子カール(のちの2世)が後妻との間に生まれ,817年には予想されなかった遺贈分を準備せねばならなくなったルートウィヒ1世は,しだいに他の3子(ロタール1世,アキタニア王ピピン,ルートウィヒ2世)との間に争いを生じ,父子骨肉の戦争から一時廃位にまで追いこまれた(830‐833)。…

【シュトラスブルクの盟約】より

…840年のルートウィヒ1世の死後,その長子のロタール1世は皇帝位と同時にフランク王国全体に対する最高権を主張して,弟のルートウィヒ2世にはバイエルン1国に甘んずることを,また末弟のカール2世には相続領をアキテーヌ1国に縮小することを強要した。そのうえ彼は,恩貸地の大盤振舞によって,弟たちの家臣の多くを,自分の家臣に加えることに成功した。…

【ルートウィヒ[1世]】より

…生地がポアティエ付近であったため,アクイタニア王たるべく,同地方の慣習で育てられた。彼は帝権を唯一の教会を援助すべき唯一の権力と考え,817年の帝国遺贈令において長男ロタール1世を皇帝に任じ,他の兄弟たちに帝権に従属すべきことを命じた。この考えは,ゲルマンの相続慣習に反し,しかも教会はこれに乗じて,のちに皇帝,王を教会の奉仕者と規定した(829)。…

【ワラ】より

…818年,イタリア王ベルナールの反乱にくみし,兄とともに亡命した。822年ルートウィヒ1世の命により,事実上ローマに追放された同帝の長子ロタール1世の後見人となるが,以後ロタール派の中で一貫して重きをなし,ルートウィヒ1世を追いつめた第6回パリ公会議の主唱者であった。831年追放されて,ボッビオで没した(没年は836年とする説もある)。…

※「ロタール1世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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