ロッキード・マーチン(読み)ろっきーどまーちん(英語表記)Lockheed Martin Corp.

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ロッキード・マーチン
ろっきーどまーちん
Lockheed Martin Corp.

アメリカの大手軍需・航空宇宙工業会社。軍需産業では、ボーイングと並ぶ最大手であり、おもにF‐16ファイティングファルコンやF‐22ラプターなどの戦闘機、C‐130スーパーヘラクレスなどの大型軍用輸送機、人工衛星、戦略ミサイルなどの軍事兵器の生産を行っている。本社はメリーランド州ベセスダにある。ロッキード社は、1932年カリフォルニア州でロッキード・エアクラフト・コーポレーションとして設立され(1977年にロッキードと改称)、1995年3月、軍需企業大手のマーチン・マリエッタMartin Marietta Corp.(1961年設立)との合併によって現社名となった。
 ロッキードの活動は、三つの完全所有子会社――(1)ロッキード・エアクラフト・サービス・カンパニー、(2)ロッキード・カリフォルニア・カンパニー、(3)ロッキード・ジョージア・カンパニー――を通じて行われていた。ロッキード社は軍用機のメーカーとして有名であるが、1970年代には大型旅客機(エアバス)L-1011トライスターで民間航空機市場に参入した。トライスターの全世界的な売り込み運動は、日本では当時の総理大臣田中角栄らを含む「ロッキード事件」を引き起こし、オランダでも女王の夫であるベルンハルトを巻き込む「献金」問題を生むなど、全世界に波瀾(はらん)を呼び起こした。しかし、売上げは伸びず1981年に民間航空機の生産を中止した。
 アメリカでは1980年代の終わりから軍事予算が削減され始め、冷戦終結後は実質的にほぼ3分の1以下に減少、ロッキードも深刻な影響を受けた。どの軍用機メーカーも生き残りに必死であったが、同社はマーチン・マリエッタとの合併に生き残りをかけた。合併後のロッキード・マーチンの戦略は次の三つである。第一は投資と合併によって中核事業の市場シェアを拡大し、さらに効率性を極大化するためにこれら事業を連結させる、第二は密接に関連する事業を選択し、適切な投資によって隣接市場へ参入する、第三に収益のあがらない事業を廃棄する、である。1996年4月に完了した防衛技術会社のローラルLoral Corp.(1948年設立)との戦略的統合は、中核事業と成長する市場での競争力強化にとって重要であった。1998年、衛星通信事業の強化を図り、通信・情報サービス大手のコムサットCOMSAT Corp.を買収した。しかし、買収・合併による急激な拡大路線は不採算事業の吸収や事業拠点の拡散をもたらし、1999年には業績悪化や大型プロジェクトの失敗などが相次いだため、部品製造子会社8社(総額10億ドル相当)の売却による事業リストラに加え、大幅な人員削減にも着手して経営再建に乗り出した。[萩原伸次郎]

その後の動き

2004年にコムサットはインテルサット社に売却された。
 2008年の売上高は427億3100万ドル、純利益32億1700万ドル。同年の売上高構成比はエレクトロニック・システム部門、情報システム・グローバルサービス部門、航空部門がともに27%、残りの19%が宇宙システム部門であった。アメリカ政府機関への販売が売上げの84%を占める。[編集部]

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