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ロバ ロバ Equus asinus domesticus; ass

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ロバ
ロバ
Equus asinus domesticus; ass

奇蹄目ウマ科。いわゆる家畜のロバで,これはアフリカ産のヌビアノロバが祖先であると考えられている。前 4000年にはすでに一部家畜化が行われており,ローマ帝国により広く普及したといわれる。

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百科事典マイペディアの解説

ロバ

奇蹄(きてい)目ウマ科の哺乳(ほにゅう)類。野生種には,アフリカノロバ(アフリカの一部),アジアノロバモンゴルチベットシリア)の2種がいる。家畜ロバはアフリカノロバを飼いならしたもので,前5200年ごろからすでに家畜化されていたと考えられる。
→関連項目ウマ(馬)家畜

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ロバ
ろば / 驢馬
assdonkey

哺乳(ほにゅう)綱奇蹄(きてい)目ウマ科ウマ属ロバ亜属のアフリカノロバとそれを家畜化したロバ、およびアジアノロバ亜属のアジアノロバに対する総称。[祖谷勝紀]

アフリカノロバ

アフリカノロバEquus africanusE. asinus)は、アフリカの北部と東部の乾燥地帯に分布し、次の3亜種がある。キタアフリカノロバE. a. atlanticusは、アトラス山脈の南側に分布していたが、3、4世紀ごろ絶滅した。ヌビアノロバE. a. africanusは、エジプトからスーダン東部にかけての山地にいたが、20世紀になって絶滅したと考えられている。体高約1.2メートル。体色は黄灰色を帯び、背中の中央にある黒線と、両肩を通る黒線が十字に交差している。動物園に少数が飼育されている。ソマリノロバE. a. somalicusは、エチオピアとソマリアの一部に少数が野生で残っている。1997~2000年の生息数は約400頭で、1999年の飼育下の数は94頭。体高1.3~1.4メートル。体色は赤灰色を帯び、肩の黒線はないが、前後肢に細い横線がある。動物園にも少数が飼われ繁殖しており、日本でも飼育の例が知られている。妊娠期間は約1年。子は1頭で、すぐに立って歩くことができる。4か月で離乳し、雌は2年、雄は5年で性成熟する。乾燥地での生活に適応し、水は毎日飲まなくても耐えられるが、少なくとも2、3日に1回は飲む必要がある。[祖谷勝紀]

家畜ロバ

家畜のロバは、ナイルの谷でヌビアノロバをもとに約6000年前に改良されたと考えられている。その後、他の亜種も関係して今日のロバがつくられている。ロバはウマに比べて耳が長いため、ウサギウマともいわれた。たてがみは短く立っている。尾は、その先端にだけ長毛がある。ウマでは四肢の内側にある無毛部(たこ、夜目(よめ))が、ロバでは前肢だけにしかない。ひづめは小さいが堅く、岩場でも上手に歩く。体高は普通1.2メートルであるが、中国山東(さんとう/シャントン)省産のダイロ(大驢)は1.6メートル、逆に小形のものは90センチメートルぐらいしかない。古代エジプトで荷物運搬用に活用され、その後、アジア、ヨーロッパで、さらに全世界で飼われるようになった。ウマより粗末な餌(えさ)でもじょうぶに育ち、力強くよく働くため、アフリカ、西南アジア、中国などでは現在でも多数が飼育されている。おもな用途は、荷物運搬、灌漑(かんがい)、脱穀・製粉などである。40年以上生きるという。なお、雄ロバと雌ウマの間の一代雑種をラバといい、現在でも生産、活用されている。逆に雄ウマと雌ロバの間の子をケッテイ()というが、難産が多いことなどの理由で実用されていない。[祖谷勝紀]

アジアノロバ

アジアノロバE. hemionusは、クーランやオナガーともよばれ、西アジアからモンゴルに分布し、乾燥した平原にすむが、乱獲により絶滅した地域も多い。体高1~1.3メートル。体は淡黄色から赤褐色で、下面は黄白色。尾、たてがみは黒く、背中の中央に黒線がある。分布地により6亜種に分けられる。[祖谷勝紀]

ロバの文化史

古代ローマでは、ロバはかまどの女神ウェスタの聖獣とされ、ウェスターリア(ウェスタ神の祭り)には、ロバはスミレの花で飾られ休息を与えられたという。ギリシアでは、豊饒(ほうじょう)の神の一人、巨大な男根をもつプリアポスへの供犠(くぎ)にはロバが供された地方があった。このほかに例のない供犠獣の由来の説明として、プリアポスが夜眠っているニンフを犯そうとしたところ、ロバがいななきニンフとほかの神々を起こしてしまったという神話、あるいは、プリアポスの犯そうとしたのはウェスタ女神であったという神話がある。古代ギリシア・ローマでは、ロバは過度の性欲と結び付けられていたらしい。女を誘惑しようとしてロバに変身させられ、酷使され苦しみをなめたのち、イシス女神の力によって人間に戻り、イシスの秘儀を授けられる若者を描くアプレイウスの『変身物語』(別名『黄金のロバ』)にもそのことがうかがえる。
 キリスト教の図像学においては、ロバは従順と柔和の象徴としてマリアのエジプトへの逃避の際の乗り物として描かれる。しかし、キリスト生誕図に配されるロバ、あるいはキリストのエルサレム入城の乗り物としてのロバ(マタイ伝21章)は、キリストによって克服されるべき偶像崇拝者、神の秘蹟(ひせき)を知らず法の軛(くびき)にとらわれたユダヤ人を表しているという説明もある。逆に、異教徒ローマ人がキリスト教徒、ユダヤ教徒を揶揄(やゆ)して、彼らをロバを崇拝する者としているという例などは、ロバが頑迷さ、知性の欠如の象徴として用いられたことを示す。中世フランス、ボーベなどで行われたという記録の残る「ロバ祭り」は、クリスマスあるいは正月1日、選ばれた少女の扮(ふん)するマリアを乗せたロバを教会に導き、ロバの鳴き声をまねてミサのパロディーを行うというもので、教会側からは厳しく指弾された。古代ヨーロッパのケルト人、ゲルマン人の間では、ロバの頭を焼いて行う占いがあったといわれている。またドイツの農村には、ロバを守護神とする村もあったという。こうした例は、ほかの多くの動物と同様、ロバにも不可視の世界と人間界の媒介者の役割があったことをうかがわせる。[渡辺公三]
『今泉吉典監修『世界の動物 分類と飼育4 奇蹄目・管歯目・ハイラックス目・海牛目』(1984・東京動物園協会) ▽ジュリエット・クラットン・ブロック著、増井久代訳『図説 動物文化史事典――人間と家畜の歴史』(1989・原書房) ▽ジュリエット・クラットン・ブロック著、リリーフ・システムズ訳『ビジュアル博物館 第33巻 馬』(1992・同朋舎出版) ▽R・S・Anderson、A・T・B・Edney編、戸尾祺明彦・内野富弥・大川尚美・楠瀬良訳『アニマルハンドリングの実際』(1994・学窓社) ▽ジュリエット・クラットン・ブロック著、桜井清彦監訳、清水雄次郎訳『図説 馬と人の文化史』(1997・東洋書林)』

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