改訂新版 世界大百科事典 「ロードエーブリー」の意味・わかりやすい解説
ロード・エーブリー
Lord Avebury
生没年:1834-1913
イギリスの銀行家,政治家,科学者,著述家。本名ジョン・ラボックJohn Lubbock。1900年貴族に列せられてエーブリー卿を称した。ロンドンに生まれ,生涯の大部分をケント州ダウンDownに住んだ。早くから自然史に興味をもち,父の友人C.ダーウィンが1841年ダウンに移住してのちは,その影響を強く受けた。イートン校に進んだが,父の病気でやめ,49年,15歳前に父の銀行に入って異常な才能を発揮し,のち多くの要職に就いた。70,74年には自由党の下院議員となり,71年の銀行休業日法Bank Holidays Act,82年の記念物保存法Act for the Preservation of Ancient Monumentsなどの推進者であった。1872-80年にはロンドン大学の副学長も務めている。自然科学をはじめさまざまな問題について多数の著作を公にしたなかで,考古学に関する《Prehistoric Times(先史時代)》(1865)は,C.J.トムセンが提唱した三時代区分のうち最古の石器時代を,環境の違いと関連させて,旧石器時代と新石器時代に二分し,現在の考古学的時代区分に一歩近寄せたことで著名である。
執筆者:小野山 節
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報