ローマの休日(読み)ローマノキュウジツ(英語表記)Roman Holiday

デジタル大辞泉 「ローマの休日」の意味・読み・例文・類語

ローマのきゅうじつ〔‐のキウジツ〕【ローマの休日】

Roman Holiday米国映画。1953年作。監督ワイラーローマ舞台に、ヨーロッパの某国王女と米国人新聞記者の1日だけの恋を描く。第21回米国アカデミー賞で3部門を受賞

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改訂新版 世界大百科事典 「ローマの休日」の意味・わかりやすい解説

ローマの休日 (ローマのきゅうじつ)
Roman Holiday

1953年製作のアメリカ映画。ウィリアム・ワイラーWilliam Wyler(1902-81)監督作品。ヨーロッパを親善旅行中の某国の若い王女(オードリー・ヘプバーン)とアメリカの新聞記者(グレゴリー・ペック)とのラブ・ロマンスを,ローマの美しい観光名所背景に,軽快にほほえましく描くロマンティック・コメディで,オリジナルストーリーは,〈赤狩り〉のブラックリストに載せられていたドルトン・トランボDalton Trumbo(1905-76)が,イアン・マクレラン・ハンター仮名で書いたものである。アカデミー脚本(オリジナルストーリー)賞が与えられたが,近年インディアナ大学蔵書のなかからベン・ヘクトBen Hecht(1893-1964)が1951年に書いた第2稿が発見されたという。

 そもそもは,ロマンティック・コメディの傑作として知られる《或る夜の出来事》(1934)をつくったフランク・キャプラ監督の〈リバティ・フィルムズ〉が,1948年にエリザベス・テーラーとケーリー・グラント主演で映画化する企画として,パラマウントに持ち込んだものであったが,製作費の問題で実現せず,それから4年後,ハリウッドがテレビの攻勢を受けていたときに,キャプラからワイラーに企画が引きつがれ,アメリカのマーシャル・プラン政策によってイタリアに凍結されていたパラマウントのドルを使って,ワイラーが製作,監督した。ローマ・ロケとチネチタ撮影所のセットでの撮影のあと,ハリウッドで編集して完成された,いわゆる〈ランナウェイrunaway〉映画のはしりである。フランスの女流作家コレットの目にとまり,ブロードウェーで《ジジ》の主役を演じたオードリー・ヘプバーンAudrey Hepburn(1929-93)は,この映画でグレゴリーペック共演してアカデミー主演女優賞を受賞し,トップ・スターの座についた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローマの休日」の意味・わかりやすい解説

ローマの休日
ろーまのきゅうじつ
Roman Holiday

アメリカ映画。1953年作品。ウィリアム・ワイラー監督。永遠のスター、オードリー・ヘップバーンを生み出したロマンティック・コメディの名作。さる小国の王女が訪問先のローマで一日だけの「ローマの休日」を楽しみ、さまざまな思いを胸に秘めたまま王室の公務に戻っていくという物語が、太陽をいっぱいに受けた古都の名所の数々を背景に描かれる。伝統的なハリウッド・コメディのプロットに倣いながら、「別れ」で終わるラストシーンが甘くせつない余韻を残す。王女が長い髪をばっさり切り落とすヘアサロンのシーン、スクーターを暴走させて路上を大混乱させるシーンなど、名場面の宝庫でもある。ヘップバーンは本作でアカデミー主演女優賞を受賞、華々しいキャリアのスタートをきった。

[宮本高晴]

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デジタル大辞泉プラス 「ローマの休日」の解説

ローマの休日

①1953年製作のアメリカ映画。原題《Roman Holiday》。グレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーンが共演したロマンチック・コメディー映画。監督:ウィリアム・ワイラー、共演:エディ・アルバートほか。第26回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同主演女優賞(オードリー・ヘプバーン)、脚本賞、衣裳デザイン賞(白黒)受賞。
②宝塚歌劇団による舞台演目のひとつ。脚本:田渕大輔。2016年、中日劇場にて雪組が初演。①を原作とするミュージカル。

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