日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンター」の意味・わかりやすい解説
ハンター(Torii Kedar Hunter)
はんたー
Torii Kedar Hunter
(1975― )
アメリカのプロ野球選手(右投右打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のミネソタ・ツインズで外野手としてプレー。2002年のオールスター・ゲームで、サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズが放った右中間へのホームランボールをフェンス越しに奪い取るなど、屈指の守備を誇る中堅手として知られている。
7月18日、アーカンソー州パイン・ブラフで生まれる。パイン・ブラフ高から1993年、ドラフト1巡目(全体20番目)指名を受けてツインズに入団。高校時代には、野球のほかにバスケットボール、アメリカンフットボール、さらには陸上競技もこなし、当初から高い身体能力は評価されていた。入団後4年間はマイナー・リーグで鍛えられ、5年目の1997年のシーズン終盤に、代走で1回の出場ながら大リーグへのデビューを果たした。レギュラーとなったのは1999年で、2001年には、打率2割6分1厘、ホームラン27本、打点92をマーク、02年は打率2割8分9厘、ホームラン29本、打点94、盗塁23と成績を伸ばし、2年連続してゴールドグラブ賞を受賞した。この活躍が原動力となり、ツインズは11年ぶりの地区優勝を遂げた。同年シーズンオフに日米野球で来日、2本のホームランと好守を披露して最優秀選手(MVP)となった。2003年、04年はともに中心打者として20本以上のホームランを放ち、3年連続地区優勝の原動力になった。また、広い守備範囲と巧みなフェンス際の捕球技術の評価は高く、2005年は足首を骨折するなど、98試合の出場にとどまったにもかかわらず、5年連続でゴールドグラブ賞に選出され、06年も変わらぬ名手ぶりを発揮して連続受賞を6に伸ばした。
[出村義和]
2007年以降
2007年は、前年のホームラン31本を下回ったが28本を放ち、打率2割8分7厘、107打点を記録。守備面では、7年連続となるゴールドグラブ賞を受賞した。2008年からはロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムでプレー。
2007年までの通算成績は、出場試合1234、安打1218、打率2割7分1厘、本塁打192、打点711。獲得したおもなタイトルは、ゴールドグラブ賞7回。
[編集部]
ハンター(John Hunter)
はんたー
John Hunter
(1728―1793)
イギリス、スコットランドの外科医、解剖学者。グラスゴー近郊に生まれる。聖(セント)バーソロミュー病院などで外科医の修業をし、海軍を経て、25年間にわたりロンドンの聖ジョージ病院に外科医として勤務した。離断した腱(けん)の縫合術や動脈瘤結紮(りゅうけっさつ)術などで新しい術式を創案して外科手術の発展に貢献し、またハンター導帯(精巣導帯)の発見などの解剖学的業績をあげた。しかし彼の真髄は、それらの土台としての創意に満ちた実験的解剖学と、各種動物標本の収集に基づく比較解剖学とにあった。たとえば、若い実験動物を用いて、骨の2か所に鉛の玉を植え込んで骨の成長を調べたり、定期的にアカネの根を食べさせて、骨に生じる赤い縞(しま)模様から、複雑な形の骨の形成過程を調べたりした。また牛乳、着色したデンプン液などを動物の腸内に注入したあと、生体解剖によって血管とリンパ管への吸収のありようを調べたりした。以上のような創意工夫に富んだ研究によって、次々と新知見を加えていった。生涯を通じて収集し続けた各種動物の標本、先天奇形や実験結果の標本など膨大な数の収集品は、イギリス政府によってそのすべてが買い取られ、ハンター博物館が創設された。
[澤野啓一]