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ローマ水道 ローマすいどうRoman aqueducts

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ローマ水道
ローマすいどう
Roman aqueducts

古代ローマがその発展に伴って建設した水道施設。ローマの水道工事は古代建築史上でも最も優れたものの一つである。最古のものは前312年アッピウス・クラウディウス・カエクスが建設したアッピア水道で全長 16.5km,トンネルによってローマに給水した。また前272年に建設されたアニオ・ベータス水道(51km)も古く,アニオ川(→アニエネ川)上流からトンネルでローマに給水した。前144年に建設されたマルキア水道(90km)などのように,のちには一部をアーチ形の高架水道としたものも現れた。97年にはローマ市に九つの水道があった。共和政期には個人の請負によって建設されたが,帝政期には国庫から資金が出された。ローマ市以外にも小規模ながら多くつくられ,特にフランス南部のポンデュガールの水道は有名。その高度な技術については,セクスツス・ユリウス・フロンチヌスらが著作を残している。(→ローマ建築

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百科事典マイペディアの解説

ローマ水道【ローマすいどう】

古代ローマ人がローマ市とその領土の各所に築いた水道。ローマ市のものは前312年にクラウディウスが築いたアッピア水道16.5kmが最初。以後前226年までに11水道が築かれた。
→関連項目ポン・デュ・ガール

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世界大百科事典 第2版の解説

ローマすいどう【ローマ水道】

古代ローマ人がローマ市およびその支配領域の各都市に設けた給水用上水道建築学・衛生学上,ローマの文化史上最大の業績の一つ。ローマ最古の水道はアッピア水道(前312)とアニオ・ウェトゥス水道(前272)であるが,その基礎にはエトルリア人から学んだ,ラティウムの谷底をうがつ排水溝の知識があった。その後,ローマの町には226年完成のアレクサンドリアナ水道まで11個の水道が設けられた。すべてテベレ川やローマ周辺の泉や湖から人工の水路を築いて水をひき,沈澱池で不純物を除去し,町の周辺の貯水槽に導き,そこから3本の主給水管で配水水槽にひき,陶管鉛管・石造水路で公共用の飲用の泉,公衆浴場や噴水のような公共建築,個人の住宅に給水した(一説では皇帝用,公共用,個人住宅用)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ローマ水道
ろーますいどう

古代ローマにおいて、その都市国家時代から帝国時代に至るまで、生活用水の安定した供給は不可欠であり、そのためローマ市でもイタリアや地中海各地の諸都市でも水道が造営された。とくにローマ人はエトルリア人から排水渠(きょ)やアーチの建造技術を習得し、すでに紀元前6世紀に市の中心部からティベリス(テベレ)川に通じる排水渠を建設したといわれ、このような優れた技術を生かし、ローマ市内にまで通じる上水道が造営されることになったのである。
 ローマ水道として最初に記録されているのは、前312年に建造されたアッピア水道であり、その後、共和政期にさらに三つの水道が建設された。水道は、地上または軍事的配慮から地下に掘り込まれ、谷間を越えるときは巨大な石造橋が架けられた。前144年に建設されたマルキウス水道で初めて長いアーケードが用いられ、水がカンピドリオの丘の上まで運ばれた。水道の管理には、ケンソルあるいはアエディリスなどの政務官が責任をもってあたった。帝政期に入ると、増大したローマ市の人口の需要に応ずるため、アウグストゥスを初めとする初期の皇帝たちはさらに五つの水道を敷設した。これらのローマ水道は、毎日70万立方メートルの水を道路沿いの公共水飲み場や公共浴場および噴水、さらには個人の邸宅にまで供給した。水道の管理のために特別の役人が任命され、その保全にあたった。ローマ帝国が発展し、地中海各地に植民市が建設されるとともに、水道も各都市で造営された。小さな町では単純な地下水道が用いられたが、大きな都市では帝国の栄華を象徴する巨大な水道橋が郊外から長々と市内へと延びていた(たとえば、カルタゴでは130キロメートル先から水を引いたといわれる)。
 これらローマ水道の遺構は、地中海世界の各地で発見されており、ガリア地方だけでも約300の水道施設が記録されている。とくに有名なものをあげれば、スペインのタラゴナ、セゴビアの水道、南フランスのニームにある三層アーケード式の「ポン・デュ・ガール(ガール橋)」、小アジアのエフェソスの水道などである。[平田隆一]

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世界大百科事典内のローマ水道の言及

【上水道】より

…ローマ市までの導水路は大半が等高線沿いに地中埋設した開水路で,地形上やむをえない場所にのみトンネルと水路橋が用いられている。ローマ水道 これらローマ帝国内の都市に設けられた水道施設も,帝国の衰微に伴い水路の補修や浚渫(しゆんせつ)が行き届かなくなって,3世紀末には往時のようには機能しなくなり,一部の水路が中世を通じて細々と利用されていたにすぎない。中世の集落は一般に小規模であったので,飲料水は市内の湧泉や井戸で賄われていたが,城壁内に高密度居住した都市では,水不足と屎尿(しによう)の始末は深刻な衛生問題となっていた。…

※「ローマ水道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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