ワイアシュトラース(読み)わいあしゅとらーす(その他表記)Karl Weierstrass

デジタル大辞泉 「ワイアシュトラース」の意味・読み・例文・類語

ワイアシュトラース(Karl Theodor Weierstrass)

[1815~1897]ドイツ数学者べき級数を用いて複素数変数の場合の関数論を基礎づけ、また微分できない連続関数発見ワイエルシュトラス

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワイアシュトラース」の意味・わかりやすい解説

ワイアシュトラース
わいあしゅとらーす
Karl Weierstrass
(1815―1897)

ドイツの数学者。ミュンスターに近い小さな町オステンフェルデに生まれる。父は期待を寄せ、ボン大学へ進ませた。そして政治学を学ばせようとしたが、彼は、プリュッカーの新しい方法による幾何学の講義以外は何も聴かず、卒業の見込みもないまま郷里へ帰った。ついでミュンスター大学でギムナジウムの教員資格検定試験の準備を始めたが、ここでもグデルマンChristoph Gudermann(1798―1852)の数学の講義に出ただけで、他の講義には出ていない。グデルマンのべき級数(整級数)を用いる方法はワイアシュトラースに大きな影響を与えた。1841年、検定試験に合格したが、数学教員の職はなく、僻地(へきち)のギムナジウムで体操の教員となった。15年間、体操を教えながら、アーベル関数を研究した。その研究成果の一部が「アーベル関数論について」と題してクレレが発行している数学雑誌の1854年号に出たのをケーニヒスベルク大学(現、イマヌエル・カント・バルト連邦大学)のリシェロトFriedrich Julius Richelot(1808―1875)が賞賛し、1856年この大学から名誉博士を受けた。同年秋、ベルリン大学助教授になり、1864年には教授に昇格、また各国の科学アカデミー会員に迎えられた。

 ライフワークはアーベル関数の研究であった。「一般の関数」について直観に頼ることを極力避けて追究し、複素数が変数の場合には、グデルマンの方法に倣い、べき級数を出発点とし、「関数要素」とそれの「解析的接続」を導入して、「解析関数」を定義してワイアシュトラース流「関数論」を樹立した。そして、これを土台としてアーベル関数の統一的研究に入った。

 もっとも簡単な楕円(だえん)関数として「(ぺー)関数」を解析的に構成し、「任意の楕円関数関数で表現することができる」ことを証明し、楕円関数を研究するには、関数を研究すれば十分であることへ導いた。超楕円積分

の逆関数(アーベル関数)において、五次と六次の場合は解決されているので、Rz)が任意の次数の場合に取り組み、これを解決したのである。

小堀 憲 2018年12月13日]

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