ワサビダイコン(読み)わさびだいこん(英語表記)horse radish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワサビダイコン」の意味・わかりやすい解説

ワサビダイコン
わさびだいこん / 山葵大根
horse radish
[学] Armoracia rusticana Gaertn., Mey. et Scherb.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草。ヨーロッパ原産セイヨウワサビともよび、英語名のホースラディッシュ、あるいはフランス語のraifortからレホールという呼称も近年一般化している。根は太くやや木質化し、白色。根出葉は長い葉柄の先に長楕円(ちょうだえん)形の葉身があり、全長60センチメートルほどになる。越冬時の葉身は深い切れ込みがある。春に60センチメートルほどの花茎が立って、多くの白色の4弁花がたくさんつく。果実は小さい扁楕円(へんだえん)形の莢(さや)であるが、種子は実らないのが普通である。繁殖根茎による。株分けによって畑に植え付け、1、2年目に根を掘り取って、細い枝根を除き、中央の太い棍棒(こんぼう)状の根を30センチメートルほどに整えて出荷する。古くから香辛料のほか薬用にする。

星川清親 2020年12月11日]

食品

ヨーロッパ、とくにフランス、イギリスなどでは昔からよく使われてきた。日本のワサビに似た香辛味があり、中身が白いのでおろすと白いわさびおろしになり、ローストビーフの付け合せに欠かせない。塩、酢などの調味料と混ぜて肉料理のあしらいにも使われる。グレービーソースに混ぜ込んだものは、川魚臭みを消し風味を引き立たせるので、川魚料理にもよい。根茎の乾燥粉末は粉わさびに利用される。

[齋藤 浩 2020年12月11日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ワサビダイコン」の意味・わかりやすい解説

ワサビダイコン (山葵大根)
horseradish
Armoracia rusticana Gaertn.,Mey.et Scherb.

アブラナ科の多年草。セイヨウワサビ,ホースラディシュともいう。ヨーロッパ南東部の原産と考えられ,古くから香辛料として栽培利用されている。根は直径3~5cm,長さ30~50cmになり,内部は白色で繊維が多く,強い辛み香気がある。葉は濃緑色でちりめん状のしわがあり,生育の段階によって長さ30~50cmの長楕円形の葉と,羽状に切れ込んだ葉とがあり,それぞれ別種のようにみえる。4~5月にとう立ちして多数の白い十字花が咲く。日本へは明治初年にアメリカから導入され,北海道では川沿いの湿地に野生化し,俗にアイヌワサビと呼ばれている。根を刻んだり,おろしたりして調味料に用い,フランス語のレホールraifort sauvageという名でも知られている。酢漬にしたものも用いられる。日本でのおもな用途は粉ワサビで,乾燥粉末に薄緑色の色素を加えたものが売られている。また,練りワサビの原料ともされる。辛味成分はワサビと同じシニグリンsinigrinである。
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栄養・生化学辞典 「ワサビダイコン」の解説

ワサビダイコン

 [Amoracia rusticana].ホースラディッシュ,セイヨウワサビなどともいう.フウチョウソウ目アブラナ科トモシリソウ属に属する.

 ⇒セイヨウワサビ

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百科事典マイペディア 「ワサビダイコン」の意味・わかりやすい解説

ワサビダイコン

ホースラディッシュ

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