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ワレモコウ

百科事典マイペディアの解説

ワレモコウ

バラ科の多年草。北海道〜九州,東アジア〜ヨーロッパに広く分布し,日当りのよい山地の草地にはえる。茎は高さ1m内外,上方では分枝し,葉は羽状複葉で,5〜11枚の長楕円形の小葉からなり,根出葉では長い柄がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

ワレモコウ【Sanguisorba officinalis L.】

野原や山地でよく見かけるバラ科の多年草(イラスト)。地下に根茎があり,茎は高さ1mほどになり,小枝を分かつ。根出葉も茎の葉も羽状複葉。根出葉の小葉は,多くは5対内外,長楕円形,楕円形または卵形で,長さ3~5cm。穂状花序は直立して1~2cm,夏から秋にかけて密に暗赤色の花をつける。花には花弁がなく,萼が4裂して花弁状になる。おしべは4本,果実は小さく四角形。ワレモコウの和名には,吾木香,我毛香,吾亦紅などの字が当てられるが,語源は必ずしもはっきりしていなくて,花の紅色とは関係なさそうである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ワレモコウ
われもこう
great burnet
[学]Sanguisorba officinalis L.

バラ科の多年草。ユーラシア大陸に広く分布し、日本では各地山野の草地に生ずる。茎は高さ30~100センチメートル、直立して上部で分枝し、茎と枝の先に短い穂状花序をつける。全株無毛。葉は互生し、根生葉は長楕円(ちょうだえん)形の奇数羽状複葉で長い葉柄がある。小葉は7~11個つき、長楕円形で縁(へり)に鋸歯(きょし)があり、短い小柄をもつ。茎葉は上部にいくにつれて小形になり、無柄となる。倒卵形ないし楕円形、暗紅紫色の穂状花序は、7~9月、上部の花から開花する。花弁はなく、萼(がく)は暗紅紫色で4裂し、雄蕊(ゆうずい)(雄しべ)4個は萼裂片より短く、葯(やく)は黒色。根茎は太くて横走し、多数の細長い(ときに紡錘形)の根をつける。色は赤褐色。
 漢方では、乾燥した地下部を地楡(ちゆ)といい、止血、収斂(しゅうれん)、解熱剤として下痢、赤痢、月経過多、喀血(かっけつ)、皮膚病、切り傷、湯火傷などの治療に用いる。なお、ワレモコウの漢名も地楡である。また、日本ではワレモコウに吾木香、吾亦紅などをあてることもあるが根拠はない。『本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)』には「ワレモコウに同名多し。ジャコウソウ(シソ科)、オケラ(キク科)、カルカヤ(イネ科)に似たる草、みなワレモコウの名あり」とある。[長沢元夫]

文化史

(われ)も亦(また)紅と解釈する吾亦紅は、近代の当て字で、『源氏物語』の「匂宮(におうのみや)」には匂兵部卿(におうひょうぶきょう)が庭に吾木香を植えるくだりがあり、香料の木香(もっこう)との関連を思わせるが、ワレモコウに香りはなく、本来の木香はインド北部のキク科の草本で、形態も類似しない。前川文夫によると、御簾(みす)の上部にかぶせた帽額(もこう)につけられた木瓜(もこう)紋とワレモコウの花やつぼみが似て、割れ目があるので割木瓜(われもこう)から由来したとされる(『日本人と植物』)。中国では『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』に地楡(ちゆ)の名がみえ、地楡は『出雲国風土記(いずものくにふどき)』に仁多(にた)郡の産物としてあがる。[湯浅浩史]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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