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一心太助(読み)いっしんたすけ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一心太助
いっしんたすけ

江戸時代初期の江戸の魚屋といわれ,講談,小説,戯曲に登場する人物歌舞伎では河竹黙阿弥作『芽出柳緑翠松前 (めだしやなぎみどりのまつまえ) 』で活躍。義侠心に富み,江戸っ子の典型。大久保彦左衛門忠教の愛顧を受けたという。東京都港区の立行寺に墓がある。

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デジタル大辞泉の解説

いっしん‐たすけ【一心太助】

戯曲・浪花節(なにわぶし)・講談の主人公。江戸で魚屋を営み、江戸っ子かたぎの侠気に富んだ人物で、大久保彦左衛門の愛顧をうけたという。歌舞伎「名高手毬諷実録(なにたかしまりうたじつろく)」などに登場する。

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百科事典マイペディアの解説

一心太助【いっしんたすけ】

大久保彦左衛門に愛されたと伝えられる江戸の魚屋。生没年不詳。実録本《大久保武蔵鐙(あぶみ)》に登場する。性潔白で義侠心に富み,寛永(かんえい)年間(1624年―1644年)浅草の穀商と旗本が対立した際,真相をさぐって大久保に告げ疑獄を防いだといわれる。これが喧伝(けんでん)され,1855年江戸中村座初演の《名高手毬諷実録(なにたかしまりうたじつろく)》をはじめ多くの歌舞伎,講談,浪花節で題材となり,江戸っ子の典型とされた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

一心太助 いっしんたすけ

歌舞伎,講談などに登場する江戸の町人
いなせな魚屋で,腕に「一心白道」の入れ墨をしていることから一心太助とよばれる。天下のご意見番大久保彦左衛門に愛され,彦左衛門をたすけてさまざまな活躍をする。歌舞伎の初演は安政2年江戸中村座の「名高手毬諷(なにたかしまりうた)実録」(3代桜田治助作)。

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朝日日本歴史人物事典の解説

一心太助

江戸前期の魚屋。江戸の芝白金(東京都港区)立行寺の記録(石塔)では延宝2(1674)年12月23日没。架空の人物のため,実録体小説『大久保武蔵鐙』など伝承により異同がある。桃川実口演(『文芸倶楽部』1901年7月15日号)によると,本姓藪尻,彫り物の「一心如鏡」により一心太助と称した。三河国(愛知県)吉良の農民で,領主大久保彦左衛門に見いだされ,江戸で士分に取り立てられる。彦左衛門邸で饗応の際,皿を割った腰元菊野の罪を引き受け,残りの皿をすべて割るが,彦左衛門は刀の裏で襟元を触り罪を許す。これを機に太助は魚屋となり,江戸の諸方へ出入りをし,市井の事を聞き出し,彦左衛門に通じ,懐刀と呼ばれて功があった。川柳に詠まれたのは天保4(1833)年刊の『柳多留』と遅く,劇中人物としても安政2(1855)年江戸中村座初演の「名高手毬諷実録」が初めてと思われ,知名度は江戸期よりも今日の方がはるかに高いであろう。<参考文献>『三田村鳶魚全集』5巻

(延広真治)

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江戸・東京人物辞典の解説

一心太助

??〜??(??年〜??年)【町人】腕の入墨「一心」は義侠心のしるし。 講談・小説などの登場人物としてヒーローに。三代将軍家光の頃に、旗本大久保彦左衛門のもとで活躍したと伝えられる漁商。腕に「一心如鏡、一心白道」の入墨があったことに、その名は由来する。大久保政談の中で語られた、穀商松前屋五郎兵衛の冤罪を大久保彦左衛門と晴らした話は、後に歌舞伎や講談で人気を博した。ただし、この頃大名に出入りできる魚屋はおらず、架空の人物とも言われる。

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世界大百科事典 第2版の解説

いっしんたすけ【一心太助】

大久保彦左衛門に愛されたと伝えられる魚商。生没年不詳。俠勇あって〈一心〉の名は首(または腕ともいう)に〈一心白道〉の4字を入墨したところから呼ばれたとされる。実録本《大久保武蔵鐙(あぶみ)》によって大久保政談にからんで登場,浅草茅町の穀商松前屋五郎兵衛の無実をはらす役割を果たした。1855年(安政2)7月江戸中村座初演の《名高手毬諷(なにたかしまりうた)実録》(3世桜田治助作)で4世市川小団次が太助ほか5役を演じ好評。

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大辞林 第三版の解説

いっしんたすけ【一心太助】

小説・戯曲・講談中の人物。江戸っ子の典型的人物。魚屋を営み、義理人情にあつく、大久保彦左衛門の家来株として活躍する。歌舞伎では、河竹黙阿弥作「芽出柳翠緑松前めだしやなぎみどりのまつまえ」に登場。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一心太助
いっしんたすけ

生没年不詳。『大久保実記武蔵鐙(むさしあぶみ)』の「松前屋五郎兵衛之伝記」に登場する魚屋。同書によると、もと大久保彦左衛門(ひこざえもん)(忠教(ただたか))の草履取(ぞうりとり)で、のち江戸・両国あたりで魚の行商を営み、彦左衛門にその侠気(きょうき)を愛された。松前屋、実は津軽藩家老の悴(せがれ)松前帯刀(たてわき)の一件にかかわり彦左衛門を助けて、その無実を明らかにしたとしている。一心の名は、人を救うためにわが一心をもって臨み、果たさぬことがなかったため、その侠気を賞してよぶようになったという。講談などに取り上げられて人気者となった。架空の人物か。[比留間尚]

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