改訂新版 世界大百科事典 「丁岳山地」の意味・わかりやすい解説
丁岳山地 (ひのとだけさんち)
秋田・山形県境に東西に連なる標高900~1100mの山地。出羽山地最南端にあたる。東は雄勝(おがち)峠で神室(かむろ)山地に,西は鍋倉峠をもって鳥海山に接続する。北は子吉川の谷を隔てて笹森丘陵に臨み,南は最上川水系の鮭川流域に下る。広義には丁岳と鳥海山のなかほどから最上川の横谷まで約30kmにわたって南北にのびる山地も含める。県境をなす主脈は,最高峰の丁岳(1146m),萱森(1070m),大森山(1078m),雁唐(がんから)山(1045m)などからなる。北東にのびて雄物川と子吉川の流域を分ける支脈は大仙山(920m),姥井戸山(927m)などからなり,南に連なって鮭川流域と庄内平野を分ける支脈は八森(799m),弁慶山(887m)などからなる。地質は鳥海火山の基盤ともなっている第三紀層の砂岩,ケツ岩を主とする。標高,面積とも小規模ながら,庄内平野と新庄盆地,新庄盆地と横手盆地をそれぞれ画然と分ける地形的境界で,交通の障害となってきた。
執筆者:中村 嘉男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報