三千世界(読み)さんぜんせかい

精選版 日本国語大辞典 「三千世界」の意味・読み・例文・類語

さんぜん‐せかい【三千世界】

万葉(8C後)五・七九四・右詩序文「三千世界誰能逃黒闇之捜来山上憶良〉」
※愚迷発心集(1213頃)「迦陵頻伽音声は三千世界に響しかども」

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デジタル大辞泉 「三千世界」の意味・読み・例文・類語

さんぜん‐せかい【三千世界】

三千大千世界」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三千世界」の意味・わかりやすい解説

三千世界
さんぜんせかい

仏教の世界観による全宇宙のこと。三千大千世界の略。われわれの住む所は須弥山(しゅみせん)を中心とし、その周りに四大州があり、さらにその周りに九山八海があるとされ、これを一つの小世界という。小世界は、下は風輪から、上は色(しき)界の初禅天(しょぜんてん)(六欲天の上にある四禅天のひとつ)まで、左右の大きさは鉄囲山(てっちせん)の囲む範囲である。この一小世界を1000集めたのが一つの小千世界であり、この小千世界を1000集めたのが一つの中千世界であり、この中千世界を1000集めたのが一つの大千世界である。その広さ、生成、破壊はすべて第四禅天に同じである。この大千世界は、小・中・大の3種の千世界からできているので三千世界とよばれるのである。先の説明でわかるように、3000の世界の意ではなく、1000の3乗(1000×1000×1000)、すなわち10億の世界を意味する。

高橋 壯]

『定方晟著『須弥山と極楽』(1973・講談社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三千世界」の意味・わかりやすい解説

三千世界
さんぜんせかい

仏教用語。三千大千世界の略称。仏教の宇宙観によると,一世界とは須弥山を中心として九山八海,四洲 (四天下) や日月などを合したものであるが,この一世界が 1000個集ったものを小千世界という。この小千世界が 1000個集ったものが中千世界,この中千世界がさらに 1000個集ったものが大千世界である。この大千世界は小,中,大の各千世界から成っているので,三千世界あるいは三千大千世界という。

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世界大百科事典(旧版)内の三千世界の言及

【三千大千世界】より

…仏教思想において巨大な宇宙空間を示す術語。三千世界ともいう。須弥山(しゆみせん)を中心とし,地獄界や兜率天,梵天界などを含み,1個の太陽と1個の月を従えた空間を一世界と呼ぶ(現代の太陽系に相当しよう)。…

※「三千世界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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