徳島県北東部、板野郡にある町。吉野川北岸に位置する。1955年(昭和30)松島町、大山(おおやま)村、高志(たかし)村が合併して成立。町域は、北部は讃岐(さぬき)山脈の斜面にあたり、山麓(さんろく)は泉谷(いずみだに)川の扇状地、南部は吉野川旧流路の沖積地である。沖積地を東西に撫養(むや)街道が走る。江戸時代からアイ作と扇状地のサトウキビ栽培、精糖業があり、「阿波和三盆」として現在も和菓子用に京都に出荷している。基幹産業は農業で、畜産、ニンジンなどの野菜栽培、カキなど果樹生産が行われている。中心の松島地区にある県畜産研究所構内にはサクラが千本余り植えられ、松島千本桜として知られている。讃岐山脈東部の大山(691メートル)には真言(しんごん)宗醍醐(だいご)派の古寺大山(たいさん)寺があり、町の西部にある安楽寺は四国八十八か所第6番札所である。乳保神社(にゅうぼじんじゃ)のイチョウ(国指定天然記念物)は授乳の神木として信仰が厚い。面積34.58平方キロメートル、人口1万1384(2020)。
[高木秀樹]
『『上板町史』全3巻(1981~1985・上板町)』▽『『上板町史 続』(2006・上板町)』
徳島県北東部,板野郡の町。人口1万2727(2010)。徳島平野中央部,吉野川北岸に位置し,讃岐山脈南斜面と,泉谷川などにより形成された扇状地,宮川内谷川と吉野川の沖積平野の3地域からなる。古くからサトウキビの栽培が盛んで,精製された砂糖は〈和三盆(わさんぼん)〉と呼ばれ,アイと並ぶ阿波の特産として全国に知られた。現在も全国各地の銘菓の原料として珍重される。また米を中心に,施設園芸,畜産,果樹などの複合経営を行う農家が多く,県農業の中核地域となっており,県畜産試験場(現,県立農林水産総合技術支援センター畜産研究所),県果樹試験場(現,同果樹研究所)分場などがある。四国八十八ヵ所6番札所安楽寺があり,松島の千本桜は花見客でにぎわう。
執筆者:赤池 享一
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