上海協力機構(読み)シャンハイキョウリョクキコウ(英語表記)Shanghai Cooperation Organization

デジタル大辞泉 「上海協力機構」の意味・読み・例文・類語

シャンハイ‐きょうりょくきこう〔‐ケフリヨクキコウ〕【上海協力機構】

中国ロシアカザフスタンキルギスタジキスタンウズベキスタンインドパキスタンの8か国からなる多国間協力の枠組み上海ファイブを前身として、2001年に発足。政治・経済・文化・安全保障など幅広い分野で連携を図る。SCO(Shanghai Cooperation Organisation)。
[補説]オブザーバーとしてアフガニスタンベラルーシイランモンゴル、対話国としてアゼルバイジャンアルメニアカンボジアネパールトルコスリランカが参加している。

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共同通信ニュース用語解説 「上海協力機構」の解説

上海協力機構(SCO)

中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが2001年に創設した地域協力組織。当初はテロ対策、麻薬や武器の密輸防止など治安問題が主な議題だったが、近年は貿易、経済、防衛分野での協力も推進。中ロが主導して首脳会議を毎年開催しており、17年にインドとパキスタンの正式加盟を承認。世界人口の約40%に当たる30億人超の規模になった。モンゴル、イラン、アフガニスタン、ベラルーシが準加盟。(ビシケク共同)

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上海協力機構(SCO)

中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが2001年に創設した地域協力組織。17年にインドとパキスタンが正式加盟した。安全保障協力が中心だったが、経済協力を模索する面が次第に強くなった。主導役の中ロには米欧に対抗して世界の多極化推進に利用する思惑がある。全方位外交を堅持するインドには米欧、中ロをにらみバランス外交を展開する場として活用する狙いもある。(共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上海協力機構」の意味・わかりやすい解説

上海協力機構
しゃんはいきょうりょくきこう
Shanghai Cooperation Organization

中国とロシアが主導する地域協力組織。英語名称の頭文字からSCOと略称する。中国、ロシアのほかインド、パキスタン、中央アジア4か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)、イランの9か国が加盟。軍事、政治、経済・貿易、科学技術、文化面などの包括的協力をうたった憲章をもつ。国連統計(2019年)によると、加盟国の人口は世界全体の4割強、域内総生産(GDP)は2割強、面積はユーラシア大陸の6割を占める。アメリカ一極集中への対抗軸という性格が強いうえ、紛争地帯を域内や隣接地帯に抱える地政学的意味合いもあって、国際的に存在感を高めている。

 ソ連崩壊で生じた中国と中央アジア各国の国境周辺での緊張問題を解決するため、1996年、上海に集まった中国、ロシア、中央アジア3か国(ウズベキスタンは参加せず)の上海ファイブ(Shanghai Five)が前身。2001年にウズベキスタンを加えた6か国で憲章を採択して正式に発足し、2017年にインドとパキスタンが加わり、2021年にイランの正式加盟手続を始めた。事務局を北京(ペキン)に置き、毎年加盟国の持ち回りで首脳会議を開催している。2021年時点で、モンゴル、ベラルーシ、アフガニスタンが準加盟国(オブザーバー)で、対話パートナー国にはアゼルバイジャン、トルコといった周辺諸国に加え、サウジアラビアエジプトカタールの中東諸国が名を連ねる。国境周辺での緊張緩和という当初目的から、2001年のアメリカ同時多発テロ以降、イスラム過激派対策、テロ防止、麻薬対策、アフガニスタンなど政情不安地域への対応に協力の重点を移した。「内政への不干渉」を共通の目的に掲げ、軍事同盟ではないとうたっているが、2007年以降、ほぼ毎年、加盟国による合同軍事演習も実施している。最近はロシアが掲げる「ユーラシア経済同盟」や、中国が掲げる「一帯一路」構想の実現に向け、加盟国や準加盟国、対話パートナー国を増やし、経済分野での協力を強化している。

[矢野 武 2022年3月23日]

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百科事典マイペディア 「上海協力機構」の意味・わかりやすい解説

上海協力機構【シャンハイきょうりょくきこう】

2001年6月,ロシア,中国および中央アジア4ヵ国によって創設された常設機構。Shanghai Cooperation Organisation,略称SCO。前身は,1996年に中国,ロシア,カザフスタン,キルギスタン,タジキスタンの間で成立した〈上海ファイブ〉で,中ロ国境画定や信頼醸成などで成果をあげ,安全保障や経済などの協力関係へと発展し,2001年ウズベキスタンも参加してこの機構が成立した。分離主義やイスラム原理主義などの過激主義に連携して共同で対処するねらいがある。米国での9.11事件の直後に,同機構は対テロ闘争宣言を出し,キルギスタン,ウズベキスタンなどは米軍基地を受け入れたが,2005年7月の同機構首脳会議は中央アジア駐留米軍の撤退期限設定を求めた。なお,従来のモンゴルのほか,インド,パキスタン,イランのオブザーバー参加も同会議で認められた。
→関連項目カザフスタンキルギス

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知恵蔵 「上海協力機構」の解説

上海協力機構

ロシア、中国、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国の協力機構。1996年4月に国境地域での兵力削減など信頼構築を目標に、ウズベキスタンを除く5カ国首脳が上海に集まって上海ファイブを創設、イスラム原理主義や国際テロ、分離主義、民族紛争、麻薬や武器の密輸、治安などの諸問題を話し合ってきた。2001年6月にウズベキスタンが加わり、上海協力機構に格上げされた。00年には米国の一極支配や北大西洋条約機構(NATO)拡大への抵抗を前面に打ち出した。米同時多発テロ後、ロシアが米国と密接な協力関係を結ぶに至って上海協力機構は形骸化するかに見えたが、最近は中ロの接近と中央アジアの米国離れで、再び強化されつつある。05年には、中央アジアに駐留している米軍の撤退を求める方向を明確に打ち出し、同年8月の中ロ合同軍事演習「平和の使命2005」など軍事協力も拡大している。06年6月には、上海ファイブ10周年、上海協力機構5周年の記念首脳会議を上海で開催。ロシアは「S COエネルギークラブ」創設を提案、インド、イラン、パキスタン、モンゴルもオブザーバーとして参加した。一方、軍事協力や反米色が強まっていることに懸念も広がっている。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)

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