下男(読み)げなん

精選版 日本国語大辞典 「下男」の意味・読み・例文・類語

げ‐なん【下男】

〘名〙
雑用などをするために雇われている男。下働きの男。めしつかいの男。下僕。しもべ
言経卿記‐天正一七年(1589)九月一八日「又下男彌七血を下云々。三黄円二百十粒等遣了」
徳川幕府職名。御広敷番につき、大奥女中方の雑用をしていた者。一〇俵一人半扶持。小普請からはいって下男組頭や仕丁に進む。
※明良帯録(1814)新益「御下男〈十五俵二人扶持〉御奥方、又は女中方出入之御用部屋之勤也」

しも‐おとこ ‥をとこ【下男】

〘名〙 身分の低い賤しい男。また、雑用などをするために雇われている男。下働きの男。しもおのこ。
※運歩色葉(1548)「下男 シモヲトコ」
浮世草子好色一代男(1682)三「世之介は〈略〉やうやう下男(シモオトコ)をかたらひ」

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デジタル大辞泉 「下男」の意味・読み・例文・類語

げ‐なん【下男】

雇われて雑用をする男。下僕。⇔下女
江戸幕府の職名。女中方出入りの用部屋に勤め、雑用をした。
[類語]下働き下女召し使い奴隷奴婢どひ男衆下僕忠僕老僕爺や飯炊き権助風呂焚き三助女子衆下婢端女はしため小間使い

しも‐おとこ〔‐をとこ〕【下男】

下働きの男。げなん。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の下男の言及

【下人】より

…しかし一方では譜代の下人が依然として残存し,江戸時代に入っても辺境の農山村を初め,庄屋,名主(なぬし)の下で駆使され続けた下人が少なくない。ただ一般的傾向としてはしだいに解放されて年季奉公人化し,それにつれて下人という呼称もすたれ,江戸末期には下男,下女と呼ばれるようになった。明治時代以降この下男,下女は,資本主義経済の下で賃金労働者としての性格をもつようになるが,人身売買のなごりは明治以後もなお根強く残存した。…

【奉公人】より

…1842年(天保13)ころに実際に支払われていた1ヵ年の給金は,足軽は金3両より6両くらいまで,中間は金2両2分より3両くらいまで,六尺は金6両2分より12,13両くらいまで,おなじく日雇銭は,徒士は銭272文より300文,足軽は銭148文より224文,六尺は銀2匁5分くらいより10匁くらいまでであった。【北原 章男】
【農村奉公人】
 近世農村の奉公人は一般に譜代,下人,下男,下女などと呼ばれていた。その雇用関係の内容は時期により,また地方により多種多様であるが,身分関係,契約形式,労働対価支払方式,雇用期間などをメルクマールにして譜代下人,質券奉公人,居消(いげし)奉公人(押切奉公人,居腐(いぐされ)奉公人),年季奉公人(年切奉公人),出替奉公人(一季奉公人),日割(ひわり)奉公人,季節雇,日雇などの諸類型に区分される。…

※「下男」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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