下野国郷帳(読み)しもつけのくにごうちよう

日本歴史地名大系 「下野国郷帳」の解説

下野国郷帳(元禄郷帳)
しもつけのくにごうちよう

一冊

成立 元禄一四年

写本 国立史料館・国立公文書館

解説 幕府が元禄九年に作成を命じた国絵図の付録として作成された郷村高帳。河内郡芳賀郡塩谷郡那須郡足利郡・簗田郡・安蘇郡都賀郡寒川郡の順に記し、郡の記載の後にその郡の、また巻末には下野一国の高・村数の総計を記す。高は表高。巻末には献上年月元禄一四年辛巳七月と下野国郷帳作成担当者の宇都宮藩主阿部対馬守正邦の名を記す。元禄国絵図の作成基準には所領関係の記載は不用とされており、献上された郷帳には村高・村名しか記されていなかった。国立公文書館本は冊首に「編脩地志備用典籍」の朱印が押されており、文化年間江戸昌平坂学問所内に設置された地誌取調所の旧蔵本で、村高・村名を記しており、幕府への献上本から書写したのであろう。国立史料館本は支配関係のみを記し、余白への村名の書足しや、朱筆による訂正・加筆があり、献上本とは系譜が異なる。

活字本栃木県史」史料編近世七・「内閣文庫所蔵史籍叢刊」(国立公文書館本)


下野国郷帳(天保郷帳)
しもつけのくにごうちよう

一冊

成立 天保五年

原本 国立公文書館

解説 天保二年幕府の命によって諸国領主から提出させ、幕府勘定所において一括作成した郷帳。同五年一二月に編集が完成して、幕府の紅葉山文庫と勘定所に各一部備えつけられた。国立公文書館本は紅葉山文庫本と思われる。郡の配列・記載形式は元禄郷帳に同じだが、実高把握に努めたため村高は一律に増加している。しかし領主によっては必ずしも実高を届けておらず、幕府の意図がどこまで果されたかは、なお検討を要する。下野国においては元禄郷帳では六八万石余であったが、当郷帳では七六万石余と増加している。

活字本 「栃木県史研究」一六・一七合併号

景印本 「内閣文庫所蔵史籍叢刊」

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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