与那原(読み)よなばる

改訂新版 世界大百科事典 「与那原」の意味・わかりやすい解説

与那原[町] (よなばる)

沖縄県沖縄島(本島)南部東海岸に位置する島尻(しまじり)郡の町。人口1万6318(2010)。海岸沿いは低平地で,背後は丘陵地。第2次世界大戦前,与那原港は沖縄島北部の国頭(くにがみ)地方から林産物を運んだ山原船(やんばるせん)と呼ばれる帆船の基地としてにぎわった。1914年那覇から県営鉄道が開通(1945年初頭まで営業)し,その終点であったほか,沖縄島中南部への馬車軌道や乗合バスの起点でもあった。戦前から在来工業として沖縄瓦の製造が行われ,一時は県下の全需要をまかなうほどであったが,現在は衰退した。その伝統は煉瓦製造や陶器作りに引き継がれている。近年,那覇市の近郊住宅地化が著しい。農業はサトウキビ作中心から花卉,野菜に転換しつつある。旧暦6月27日前後に行われる大綱引行事は400年の伝統をもつ。
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