相対性理論で用いられる物理用語で、四次元空間に表現される質点の運動の軌跡。物理的な事象は、ある場所、ある時間に起こるが、これを時間・空間を一体化した四次元空間(ミンコフスキー空間)で表すと、一つの点となる。これを世界点という。このような事象が一般には場所を変えながら、時間的に次々に起こるようすを四次元空間で表現すると、世界点が連なった世界線として表される。たとえば、ある点が存在するという事象は、一つの世界点で表現することができ、事象の連なりは世界線に沿う運動で表される。もし、この点が空間座標に対して静止していれば、世界線は時間軸方向に進む。また空間的に運動している場合、運動が一定の速度であれば、その運動は直線となり、それ以外では曲線となる。
ある世界点を通る光の世界線の集合は光円錐(こうえんすい)の面を形づくる。そしてこの面上の点を経過して未来に進む世界線はつねにこの光円錐の内側にとどまっている。これは物体の速度が光速以下であるからであり、ブラック・ホールの性質を局所的にもっている。
[佐藤文隆]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…質点がある時刻にある場所にあるという事象は,この時空の中の1点で表され,世界点と呼ばれる。いろいろな時刻における世界点をつなげると世界線と呼ばれる直線,または曲線となり,これが質点の運動の過去から未来にわたる歴史を表している。相対性理論【藤井 保憲】。…
※「世界線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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