ある議案について、衆参両院の意見が一致しないときに、意見調整をするために設けられる委員会。各議院において選挙された各10名の委員で組織される(国会法89条)。
予算(憲法60条2項)、条約(憲法61条)、内閣総理大臣の指名(憲法67条2項)についてはかならず開かれなければならず、協議の結果意見が一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる(衆議院の絶対的優越、自然承認)。法律案については、両院の意見が一致しないときには、衆議院の請求があれば開かれるが(憲法59条3項)、協議が不調に終わったとき、または参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときには、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる(同条4項)。そして、衆議院で出席議員の3分の2の多数でふたたび可決したときは、その法律案は法律となる(同条2項、衆議院の優越)。
なお、衆議院から回付された法律案に参議院が同意しなかったときに限って、参議院は両院協議会を請求することができるが、衆議院はこの請求を拒むことができる(国会法84条2項)。それ以外の議案については、一の議院から両院協議会を求められたときは、他の議院はこれを拒むことができない(同法88条)。両院協議会の定足数は、各議院の協議委員のおのおの3分の2以上の出席を必要とする(同法91条)。また表決に関しては、国会法第92条1項において、出席協議委員の3分の2以上の多数で議決されたとき成案となる、と規定されている。
[田中 浩]
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(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)
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…しかし,日本国憲法では,議院の議事手続や内部規律を法律事項とするような一般的規定はなく,国会関係では,議員の選挙,議員の歳費,不逮捕特権,弾劾裁判所の弾劾に関する事項が法律事項とされているほか,法律案の議決,予算の議決,条約の承認および内閣総理大臣の指名などのそれぞれに関する両議院の協議会を法律事項としているにとどまる。もっとも,両院協議会に関する立法は,両院おのおのの議決でなされており(両院協議会規程),法律形式を採っていない。このように,本来,議院の組織,作用に関する事項は,両院関係について憲法の明示するものを除き,議院規則の所管事項と考えるのが筋であるが,実際には,国会法(1947公布)という法律があって,各議院の役員人事から,各議院の議員の活動,委員会,会議,議員の質問,議員の秩序維持,議員の懲罰等にいたるまで定めており,議院規則はその細目規定として,議院の活動全般にわたっており,国会法の下位に位置づけられている。…
…衆議院と参議院は,参議院の緊急集会の場合を除き,召集(内閣の助言と承認によって天皇が行う),開会,閉会は同時であり,各院とも他院から独立して議事を行い,議決を行う。とはいえ両院の意思に齟齬(そご)が生じないよう両院協議会(憲法59~61条,67条)の制度が設けられているが,今日ではほとんど活用されていない。 衆議院と参議院とは,権限が対等でなく,衆議院が優越している。…
※「両院協議会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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