扇の一種で末広(すえひろ),浮折(うけおり)などとも称する。啓は開くの意で,たたんでも頭部が半開きになっている形状からの名称。親骨に彫を加えないのを特色とし,本来は僧などが用いた。能楽ではシテ,ワキ,ツレ役などに多用され,黒骨のものは女,童(わらわ),武将,鬼などの役が,白骨のものは翁,尉(じよう),神,山伏などの役が使用する。色や絵柄は用途や流儀により異なるが,翁扇,尉扇,神扇,修羅(しゆら)扇,鬘(かつら)扇,狂女扇,天女扇,男扇,山伏扇,雲月(うんげつ)扇,善知鳥(うとう)扇,鬼扇,融(とおる)扇,童扇,乱(みだれ)扇などの区別がある。なお,ツマに近い雲形の部分が紅のものを爪紅,紺のものを爪紺と称する。爪紅は華やかな役柄,爪紺は老人などの役に使用される。
→扇
執筆者:山路 興造
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