中土佐(読み)なかとさ

改訂新版 世界大百科事典 「中土佐」の意味・わかりやすい解説

中土佐[町] (なかとさ)

高知県中南部,高岡郡の町。2006年1月旧中土佐町と大野見(おおのみ)村が合体して成立した。人口7584(2010)。

中土佐町西部の旧村。高岡郡所属。人口1536(2005)。中央部を四万十(しまんと)川の上流松葉川が南流する。ほぼ全域が山林で占められ,松葉川沿岸にわずかに耕地が点在し,集落が立地する。農林業を主とし,木材のほか,米,野菜,シイタケなどを産し,畜産も行われる。近年ショウガ,シシトウや花木栽培が盛ん。

中土佐町東部の旧町。高岡郡所属。人口6784(2005)。北は須崎市に接し,東は土佐湾に面する。町域は南北に長く,久礼(くれ)川,上ノ加江川などが東流して土佐湾に注ぐ。中心集落の久礼はかつてはカツオ漁港として栄え,また南の上ノ加江,矢井賀も黒潮を利用したブリ定置網漁業の盛んなところであったが,近年は漁獲量が減少している。現在,久礼港は上流域の林産物積出港となっている。米作のほか,タバコ栽培や施設園芸が行われる。久礼湾に臨んで鎮座する久礼八幡宮は海の守護神として古くから信仰され,旧暦8月に行われる例大祭は,大たいまつの先導神饌(しんせん)が社殿に送られる御神穀祭で著名。JR土讃線,国道56号線が通る。須崎市との境の焼坂,南の四万十町の旧窪川町との境の久礼坂はかつては交通の難所として知られた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中土佐」の意味・わかりやすい解説

中土佐(町)
なかとさ

高知県中央部、高岡郡の町。土佐湾に臨む。1957年(昭和32)久礼(くれ)、上ノ加江(かみのかえ)の2町が合併して成立。2006年(平成18)大野見村と合併して、新しい中土佐町となった。沿岸部はリアス海岸で山地が海に迫り、平地に恵まれず林野率は90%に近い。久礼、上ノ加江、矢井賀などを中心に古来水産業が盛ん。かつてはカツオ釣り、ブリ定置網の中心地として知られたが、現在は沿岸漁業は衰退ぎみで、近海の一本釣りや延縄(はえなわ)漁業が中心。久礼は古来、須崎(すさき)方面から窪川(くぼかわ)台地への通路にあたり、焼坂(やけざか)、久礼坂の急坂で結ばれた。JR土讃(どさん)線、国道56号が通じ、高知自動車道の中土佐インターチェンジがある。狭小な耕地ではイチゴや小ナスなどの施設園芸なども盛ん。大野見地区では稲作、ショウガ、イチゴ栽培や林業が行われている。旧暦8月14日の久礼八幡(はちまん)宮の御神穀祭(おみこくさん)は国指定選択無形民俗文化財。面積193.21平方キロメートル、人口6002(2020)。

[大脇保彦]

『『中土佐町史』(1986・中土佐町)』


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百科事典マイペディア 「中土佐」の意味・わかりやすい解説

中土佐[町]【なかとさ】

高知県中部,高岡郡の町。土佐湾に面し,土讃線,高知自動車道が通じる。主集落の久礼(くれ)はカツオ漁業の港町として発達,上ノ加江などとともに沿岸漁業基地となっている。施設園芸,花卉(かき)栽培などの農業も行う。2006年1月高岡郡大野見村を編入。193.28km2。7584人(2010)。

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