中山茂(読み)ナカヤマシゲル

デジタル大辞泉 「中山茂」の意味・読み・例文・類語

なかやま‐しげる【中山茂】

[1928~2014]科学史家。兵庫の生まれ。昭和46年(1971)に米国の科学史家トーマス=クーン著書科学革命構造」を翻訳し、パラダイム論を日本に紹介した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中山茂」の意味・わかりやすい解説

中山茂
なかやましげる

[生]1928.6.22. 兵庫,尼崎
[没]2014.5.10. 東京
科学史家(→科学史)。1951年東京大学理学部天文学科卒業。出版社の平凡社に編集者として入社して科学史家らと交流。1955年フルブライト留学生としてアメリカ合衆国のハーバード大学大学院に留学し,1960年に科学・学術史専攻の博士号を取得する。同 1960年に帰国後,東京大学教養学部の専任講師着任。1962年にアメリカの科学史家トーマス・S.クーンが出版した『科学革命の構造』The Structure of Scientific Revolutionsを翻訳し,科学がただ思考により直線的に進化していくのではなく,だれかが画期的な手本となるようなパラダイムを開拓し,それをほかの問題にあてはめる「通常科学」がしばらく続くという二つのタイプの研究によって段階的な進化を遂げる,という考え方を日本に紹介。既成学問への行きづまり感と新しい学問形成への機運をとらえてパラダイムということばが普及した。1989年東京大学を助教授で退官し,神奈川大学教授に転じる。また,1986年から 1995年にかけて約 100人の各分野の専門家で戦後日本の科学技術史をまとめる『通史 日本の科学技術』プロジェクト中心となって推進した。1995年,『通史 日本の科学技術』の編纂で毎日出版文化賞の特別賞を受賞。2008年から 2009年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校 UCLAポール・テラサキ・チェア(寄付講座教授)も務めた。

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百科事典マイペディア 「中山茂」の意味・わかりやすい解説

中山茂【なかやましげる】

科学史家。兵庫県尼崎市生まれ。1941年旧制大阪府立北野中学校(現府立北野高等学校)に入学,翌年,旧制広島第一中学校(現広島県立広島国泰寺高等学校)に編入。1945年旧制広島高等学校(現広島大学)入学。広島市西区の自宅で原爆により被爆。1951年東京大学理学部天文学科卒業後,平凡社に入社。1955年フルブライト奨学金留学生としてハーバード大学大学院に入学,トーマス・クーンと出会う。ハーバード大学大学院在学中にケンブリッジ大学,京都大学へ留学し,J.ニーダム,薮内清に師事する。帰国後,東京大学教養学部講師,助教授。1989年神奈川大学教授。神奈川大学名誉教授。国際科学史アカデミー副会長。パラダイム論で有名なトーマス・クーン《科学革命の構造》(みすず書房,1971年)など,多数の翻訳,著作がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中山茂」の解説

中山茂 なかやま-しげる

1928-2014 昭和後期-平成時代の科学史家。
昭和3年6月22日生まれ。ハーバード大でトマス・クーンにまなぶ。平成元年神奈川大教授。日本や中国の科学史,科学社会学を研究。社会と密着したサービス科学を提唱した。平成26年5月10日死去。85歳。兵庫県出身。東大卒。著作に「科学技術の戦後史」,訳書に「科学革命の構造」など。

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