正称は中立労働組合連絡会議。1987年連合結成にともない解散。結成の母体は,総評と全労会議(同盟の母体)の二大労働組合全国中央組織(ナショナル・センター)への加盟を否定した産業別労働組合と独立組合のグループ。これらの組合間の協議により,1956年の第27回メーデーを契機に13組合,75万人の組合員で中立労働組合懇談会が結成(同年4月)され,さらに同年9月,中立労働組合連絡会議として発足するに至った。発足当時の運営は非常に緩やかなものであり,行動の第一段階として,労働戦線統一をめざし総評,全労会議,新産別に対し共通課題実現における統一行動等の呼びかけを行ったが,加盟組合の多くが総評指向であったため,全労会議の反発を招き不成功に終わった。戦後労働運動の面では,57年から春闘に参加,58年には労働四団体連絡会議を設置しての最低賃金確立闘争に参加するなどしだいにその存在が認められるようになり,同年の警職法改悪反対闘争を経て60年安保闘争では安保条約改定反対国民会議の中で総評とともにストライキを含む統一闘争を展開した。この直後,中心単産であった国鉄動力車労組(動労)が総評に加盟し,構成が民間組合だけになったのを契機に,官公労主導の総評への加盟指向が弱まり,第三勢力としてナショナル・センターをめざす方向に転換した。61年の全体会議において,〈友愛と信義を基調に参加組合の自主性を尊重しつつ,労働戦線の統一をめざし労働者の経済的,社会的地位の向上のために闘う〉旨の運営要綱を採択するとともに組織体制も整備し,名実ともに第三のナショナル・センターとして機能することになった。
その後,全労働者的課題である政策・制度面においては,総評,同盟,新産別との労働四団体共闘を組織,春闘においては総評との間に国民春闘共闘会議を設置し,官民の接点という重要な役割を担った。また,労働戦線統一の面で,民間労組の統一をめざした全民労協(全日本民間労働組合協議会)の結成(1982年12月)に新産別との共闘組織である総連合(全国労働組合総連合,1979年3月結成)の一員として橋渡し的な役割を果たしたことは特筆すべき点である。政治的な運動では総評,同盟と異なり,特定の支持政党はもたず,共通要求課題の実現という観点で同一の目的をもつ政党と協力関係を結ぶなど緩やかな路線をとっていた。国際労働運動の面でも世界労連,国際自由労連,国際労連と友好関係にあり,ILOにも諸会議に代表派遣をするなど,その活動の範囲は広かった。また,社会主義国,資本主義国を問わず,労働者の地位向上,権利拡大をめざして闘っているすべての国の労働組合センターと友好関係をもつという理念で,幅広い交流を行っていた。
執筆者:山口 潤之助
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…正称は全日本電機・電子・情報産業労働組合連合会。連合の加盟組合。1946年結成の全電工(全日本電気工業労働組合。産別会議に加盟)が前身。産別民主化運動のなかで49年解体,その後分裂していたが,労働運動の民主化と電機労働者の統一組織をめざし,53年6月に電機労連(全日本電機機器労働組合連合会)として結成。運動の基本は信義と友愛の精神のもと,労働基本権を遵守し,労働者の経済的・社会的地位の向上を期するとともに,産業の民主化,社会化,経済の平和的発展と世界平和の実現を期する。…
… 1980年代に入って労働戦線統一の気運が盛り上がり,まず民間労組の統一組織として,87年(昭和62)11月20日,55単産,1オブザーバー組織,6友好組織の計555万人が結集して全日本民間労働組合連合会(略称は連合,通称は民間連合)が結成された。これにともない,従来のナショナルセンターのうち,同盟と中立労連は解散し,新産別も1年後の解散を決定した。民間連合は88年2月から官民統一をめざして,総評の中心である官公労,旧同盟系の友愛会議全官公との首脳会談を開始し,89年6月までに(1)民間連合の基本文書〈進路と役割〉の尊重,(2)国際自由労連加盟,(3)民間連合に反対する統一労組懇には毅然たる態度をとる,の3重要事項などで合意をみた。…
…(7)連合体に加盟していない独立組合を加盟させる,未組織の企業に組合をつくらせる,最近ではパートタイム労働者を組合に加入させる,またはその組合をつくらせるなどの方法で,組合員の拡大を図る組織的機能。
[ナショナル・センター]
これらの連合体の相当数が労働四団体と呼ばれる総評,同盟,中立労連,新産別の四つのナショナル・センター(労働組合全国中央組織)に加盟している。1983年の〈労働組合基礎調査〉によると,所属別労働組合員の比率は,総評36.0%,同盟17.5%,中立労連11.8%,新産別0.5%,4団体以外の上部団体30.2%,独立組合8.4%である。…
※「中立労連」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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