正称は全国産業別労働組合連合。連合の発足にともない1988年解散した。労働組合中央組織で,いわゆる中央労働4団体の一つであった。資本・権力・政党からの自立を標榜し,日本共産党の圧倒的影響下におかれていた産別会議の民主化(民同運動)をめざして1948年2月に発足した産別民主化同盟(産別民同)を基盤に,49年12月10日結成された。労働組合は本来的に最も民主的組織であり,資本・権力・政党など外部のいっさいの勢力から支配介入を排除し厳に自主性を確保すべきであり,組合民主主義の徹底によって内部の団結をより強固にしていくという労働組合のあり方についての考え方のもとに〈戦闘的自由労働組合主義〉を基本方針とした。したがって,共産党フラクションによる組合への介入に反対すると同時に,レッドパージにも組合員の思想信条の自由を侵すものとして反対の態度をとった。また当初,総同盟左派とともに総評結成の準備運動に加わったが,総評結成がアメリカ占領軍総司令部の誘導によって進められたことに対し強く総司令部に抗議してその結成大会には参加せず,一時総評に加盟した(1950年11月~52年7月)ものの,再び脱退した。政治的には平和四原則(再軍備反対,軍事基地反対,中立堅持,全面講和)を基調に,米ソの対立を色合いの異なった帝国主義の対立と規定し,そのいずれからも厳に中立を保つべきであるという〈第三勢力論〉を展開,社会主義平和勢力論と対峙した。ただ総評結成をめぐって当時の絶対権力者たる占領軍総司令部との対立および総評が結成されたことは,結成後間のなかった新産別にとって組織拡大面で決定的な打撃となり,以後少数勢力としてとどまった。88年解散し連合に合流。解散時の組合員数約7万人。
→労働組合
執筆者:富田 弘隆
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… 1980年代に入って労働戦線統一の気運が盛り上がり,まず民間労組の統一組織として,87年(昭和62)11月20日,55単産,1オブザーバー組織,6友好組織の計555万人が結集して全日本民間労働組合連合会(略称は連合,通称は民間連合)が結成された。これにともない,従来のナショナルセンターのうち,同盟と中立労連は解散し,新産別も1年後の解散を決定した。民間連合は88年2月から官民統一をめざして,総評の中心である官公労,旧同盟系の友愛会議全官公との首脳会談を開始し,89年6月までに(1)民間連合の基本文書〈進路と役割〉の尊重,(2)国際自由労連加盟,(3)民間連合に反対する統一労組懇には毅然たる態度をとる,の3重要事項などで合意をみた。…
…(7)連合体に加盟していない独立組合を加盟させる,未組織の企業に組合をつくらせる,最近ではパートタイム労働者を組合に加入させる,またはその組合をつくらせるなどの方法で,組合員の拡大を図る組織的機能。
[ナショナル・センター]
これらの連合体の相当数が労働四団体と呼ばれる総評,同盟,中立労連,新産別の四つのナショナル・センター(労働組合全国中央組織)に加盟している。1983年の〈労働組合基礎調査〉によると,所属別労働組合員の比率は,総評36.0%,同盟17.5%,中立労連11.8%,新産別0.5%,4団体以外の上部団体30.2%,独立組合8.4%である。…
※「新産別」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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