乳糖分解酵素剤(読み)ニュウトウブンカイコウソザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「乳糖分解酵素剤」の解説

乳糖分解酵素剤

製品名
βベータ‐ガラクトシダーゼ製剤》
オリザチーム(ヤクルト本社
カラシミーゼ(鶴原製薬)
ガランターゼ(ニプロESファーマ)
ミルラクト(高田製薬)

 乳糖だけを分解して、吸収をよくする酵素剤です。


 乳児は、乳糖を分解する酵素(乳糖分解酵素)が低下していたり、欠乏していると、乳糖の消化ができないために、消化不良や下痢をおこしてしまいます。これを乳糖不耐といいます。また、かぜなどで腸炎をおこしたときに、二次的に小腸の乳糖分解酵素のはたらきが低下して発生する続発性乳糖不耐症(単一症候性下痢症、急性消化不良症、感冒性下痢症、白色便性下痢症、慢性下痢症)もあります。


 こうした乳児に、乳糖分解酵素を補充する目的で使用する薬です。また、経管栄養食や経口流動食などで、乳糖不耐による下痢の改善にも用いられます。


①過敏症状発疹ほっしん・かゆみなどのアレルギー症状)、ショック(体の機能が極端に低下して、生命が危険になる状態で、口渇・痛み・ただれなどの口内異常、めまい耳鳴り発疹、頻繁な便意、喘鳴ぜんめいといった症状は、ショック症状の前兆のことがある)をおこすことがあります。このような症状がおこったら服用を止め、すぐ医師に相談してください。


四肢しし冷感(手足が冷たくなる)、チアノーゼ顔面蒼白そうはく、下痢、便秘嘔吐おうとなどをおこすことがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


散剤顆粒細粒で、授乳時ごとに、水で溶いて与えるのが原則です。ただし、1日あるいは1回の服用量、服用時間については医師・薬剤師の指示を守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。


②乳児は、満腹の状態だと、いやがって薬を飲まないこともあるので、空腹時に服用する薬が処方されています。また、食後服用という処方の薬をもらったときに、食欲がなくて食事を食べないこともありますが、このような場合は、食事をしなくても時間通り飲ませてください。


 とくに子どもは薬の効果に個人差が大きく、吸収の速い子と遅い子がいます。効果がなかなか現れないからといって、指示された服用時間前に、次の薬を与えたりしないでください。乳児に薬を与える注意「じょうずに薬を飲ませるには」を参照してください。また、調乳温度が50度 以上にならないよう注意してください。


③下痢や嘔吐などのアレルギー症状をおこしやすい体質の乳児の場合、あるいは両親やきょうだいにアレルギーのある場合は、あらかじめその旨を医師に報告してください。使用量を減らすなどの、使用に関して特別な注意が必要になるからです。


④過去にこの薬で過敏症状をおこしたことのある人は、使用できません。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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