二クロム酸カリウム(読み)ニクロムサンカリウム

デジタル大辞泉 「二クロム酸カリウム」の意味・読み・例文・類語

にクロムさん‐カリウム【二クロム酸カリウム】

橙赤色の結晶。強い酸化作用を示す。媒染剤クロムめっき・写真印刷・分析試薬など用途が広い。化学式K2Cr2O7 重クロム酸カリウム

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化学辞典 第2版 「二クロム酸カリウム」の解説

二クロム酸カリウム
ニクロムサンカリウム
potassium dichromate

K2Cr2O7(294.18).重クロム酸カリウム慣用名で,現在の命名法では正しくない.IUPAC体系名はヘプタオキシド二クロム酸カリウム.安定なα相は赤橙色の三斜晶系結晶.工業的には,クロム鉄鉱,K2CO3石灰粉末を混合,ばい焼後,水で抽出し,酸性として濃縮して析出させるか,または二クロム酸ナトリウムNa2Cr2O7とKClとの複分解で得られる.イオン結晶で,2個の四面体型のCrO4が,1個のO原子を共有して結合したCr2O72-をもつ.Cr-O1.58~1.63 Å(末端),1.78 Å(架橋).∠Cr-O-Cr131°.加熱すると241 ℃ で単斜晶系のβ相にかわる.融点398 ℃.500 ℃ 以上で分解する.密度2.68 g cm-3.水に可溶(25 ℃ で14.9 g/100 g 水).潮解性も風解性もない.水溶液アルカリ性にするとCrO42-となり,溶液の色が赤橙色から黄色にかわる.強い酸化剤.固体塩と有機物の混合物は加熱または衝撃で爆発するおそれがある.各種の二クロム酸塩,クロム酸塩の原料となる(顔料など).有機合成などにおける酸化剤,マッチなどの着火剤,爆薬の原料,皮なめし,写真印刷,媒染剤,分析試薬,めっき操作などに用いられる.六価クロム化合物であるから化学物質排出把握管理促進法・特定1種指定.毒劇法では重クロム酸塩として劇物指定.労働安全衛生法・名称等を通知すべき危険物及び有害物指定.[CAS 7778-50-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二クロム酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

二クロム酸カリウム
にクロムさんカリウム
potassium dichromate

重クロム酸カリウムともいう。化学式 K2Cr2O7 。明るい橙赤色の結晶で,吸湿性,風解性はない。比重 2.68,融点 398℃。約 500℃で分解。金属的な苦味があり,有毒。水に可溶で,水溶液は微酸性を呈する。皮なめし,染色,絵具,印刷,木材用着色剤,安全マッチ,パーム油,ワックスなどの脱色,織物の防水処理,バッテリー,乾電池の復極剤などに広く利用され,また酸化剤として分析試薬に,収斂剤として医用に供される。ほかに防腐剤としても使用される。

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百科事典マイペディア 「二クロム酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

二クロム酸カリウム【にクロムさんカリウム】

化学式はK2Cr2O7。重クロム酸カリウムとも。比重2.69,融点398℃。だいだい赤色板状晶。水に可溶。強力な酸化剤。媒染剤,クロムめっき,マッチ,分析試薬,クロム酸混液などに使用。水溶液をアルカリ性にするとクロム酸カリウムを生じる。

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世界大百科事典(旧版)内の二クロム酸カリウムの言及

【二クロム酸】より

…有機物と混合すると,加熱,衝撃,摩擦などで爆発しやすいので取扱いに注意する。
[二クロム酸カリウム]
 化学式K2Cr2O7。俗称重クロム酸カリウム。…

※「二クロム酸カリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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