日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロム酸カリウム」の意味・わかりやすい解説
クロム酸カリウム
くろむさんかりうむ
potassium chromate
クロム酸のカリウム塩。二クロム酸カリウムの熱水溶液に炭酸カリウムをわずかに塩基性になるまで加え、濃縮放冷すると黄色の結晶として得られる。加熱すると675℃で六方晶系の変態に転移し、赤色を呈するが、冷えれば晶系・色はともに元に戻る。水100グラムに対する溶解度は0℃で58.0グラム、100℃で75.6グラムであり、溶解度の温度による差が相対的に小さいので、水溶液からの再結晶では精製しにくい。クロム酸塩の製造、なめし革の仕上げ、媒染剤などに用いられる。重金属イオンの分析試薬として用いられ、また、銀イオンのモール滴定法(ドイツのモールKarl Friedrich Mohr(1806―1879)が1856年に創始した終点検知法で、赤色のクロム酸銀の沈殿が現れる点を終点とする)における指示薬として用いられる。
[岩本振武]