化学式K2CrO4。黄色,斜方晶系の結晶。融点975℃,比重2.73,屈折率1.7261。強熱すると濃い赤色となり,真空中では昇華する。水に易溶で,溶解度58.09g/100g(0℃),75.68g/100g(100℃)。エチルアルコールに不溶。水溶液は加水分解してアルカリ性を示す。
CrO42⁻+H2O─→HCrO4⁻+OH⁻
これに酸を加えると,縮合して二クロム酸塩を生じ,橙赤色となる。
2CrO42⁻+2H⁺─→Cr2O72⁻+H2O
工業的には,クロム鉄鉱(FeO・Cr2O3)と炭酸ナトリウム,石灰石の混合物を粉砕し,酸化焙焼したものを硫酸で抽出して得た二クロム酸ナトリウムNa2Cr2O7を炭酸カリウムと反応させてつくる。
4(FeO・Cr2O3)+8Na2CO3+7O2─→8Na2CrO4+2Fe2O3+8CO2
2Na2CrO4+H2SO4─→Na2Cr2O7+Na2SO4+H2O
Na2Cr2O7+2K2CO3─→2K2CrO4+Na2CO3+CO2
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
クロム酸のカリウム塩。二クロム酸カリウムの熱水溶液に炭酸カリウムをわずかに塩基性になるまで加え、濃縮放冷すると黄色の結晶として得られる。加熱すると675℃で六方晶系の変態に転移し、赤色を呈するが、冷えれば晶系・色はともに元に戻る。水100グラムに対する溶解度は0℃で58.0グラム、100℃で75.6グラムであり、溶解度の温度による差が相対的に小さいので、水溶液からの再結晶では精製しにくい。クロム酸塩の製造、なめし革の仕上げ、媒染剤などに用いられる。重金属イオンの分析試薬として用いられ、また、銀イオンのモール滴定法(ドイツのモールKarl Friedrich Mohr(1806―1879)が1856年に創始した終点検知法で、赤色のクロム酸銀の沈殿が現れる点を終点とする)における指示薬として用いられる。
[岩本振武]
クロム酸カリウム
K2CrO4
式量 194.2
融点 975℃
沸点 ―
比重 2.732(18℃)
結晶系 斜方(直方)
K2CrO4(194.19).二クロム酸カリウムの熱水溶液に,炭酸カリウムを加え,微アルカリ性で蒸発濃縮後冷却すると析出する.黄色の結晶.室温ではα形の斜方晶系のイオン結晶で,四面体型のCrO42-が存在する.Cr-O約1.67 Å.密度2.73 g cm-3.675 ℃ に加熱すると赤色の六方晶系(β形)にかわり,冷却するともとに戻る.融点975 ℃.水に易溶.水溶液を酸性にすると,Cr2O72-を生じて赤橙色になる.濃塩酸を加えると,[CrO3Cl]- を生じ,この混合液を加熱すると,Cl2 を発生して,Cr3+ に還元される.酸化剤,分析試薬,皮なめし,媒染剤,クロム酸塩の原料(顔料など)などに用いられる.[CAS 7789-00-6][別用語参照]クロム酸(塩)
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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