五百羅漢(読み)ゴヒャクラカン

デジタル大辞泉 「五百羅漢」の意味・読み・例文・類語

ごひゃく‐らかん【五百羅漢】

釈迦入滅後の第1回の経典結集けつじゅう、および第4回結集のときに集まったという500人の聖者。また、その像。五百阿羅漢

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精選版 日本国語大辞典 「五百羅漢」の意味・読み・例文・類語

ごひゃく‐らかん【五百羅漢】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。仏典第一結集に参加した釈迦の弟子五百人、または第四結集のおりの五百人の聖者をいう。さらに、その彫像、または、彫像を安置してまつってある所などをもさす。五百阿羅漢五百応真。五百。〔参天台五台山記(1072‐73)〕〔仏説興起行経‐序〕
  3. から、ひとところに集まった大勢の人をたとえていう。
    1. [初出の実例]「せまい医務室は、兵卒の五百羅漢どもで身動きがとれなかった」(出典:軍隊病(1928)〈立野信之〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「五百羅漢」の意味・わかりやすい解説

五百羅漢 (ごひゃくらかん)

500人の羅漢およびその群像。十六羅漢という呼称もある。十六羅漢は,仏法を護持することを誓った16人の仏弟子で,五百羅漢は,仏の滅後に行われた第1回目の経典編纂(結集(けつじゆう))に集まった仏弟子を指すといわれる。いずれも,それぞれの能力を生かして正法を後世に伝える役割を担っている。深山にこもってひたすらに修行に励むその姿は,肉は落ち粗末な衣服を身にまとってはいるけれども,超人的なさまざまの能力を得て,仙境に遊ぶような風貌である。羅漢の姿が日本に輸入されたのは比較的早く,法隆寺五重塔塑像に見いだすことができる。しかし日本の古代仏教が修行仏教としての面を必ずしも重視しなかったので,広がりはあまり見られない。五百羅漢を崇拝することは中国で盛んになり,鎌倉時代に禅宗が輸入されると,日本でも羅漢に対する信仰が興ってくる。十六羅漢の木像山門の楼上に安置することは,禅宗から始まって各宗に波及し,仏法の護持が祈られた。五百羅漢は幾幅かの画像に描かれ,禅寺における修行の姿として僧堂に掲げられた。このため,鎌倉時代以後には宋・元本の模本が数多く製作され,東福寺の明兆筆《五百羅漢図》をはじめ,大徳寺,万福寺など禅寺に多く所蔵されている。後世になると,禅宗の寺で羅漢会が催されて参詣者でにぎわった。また,大分の羅漢寺,川越の喜多院などには五百羅漢の石像もある。〈羅漢さんが揃たら廻そうじゃないか〉で始まる羅漢まわしの遊戯や,講の余興に輪の中から出て舞う羅漢舞など,羅漢の名は身近なものとなっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五百羅漢」の意味・わかりやすい解説

五百羅漢
ごひゃくらかん

信仰の対象である500人の羅漢(阿羅漢(あらかん))。インドの仏典に、仏に常時付き従った弟子の数として、あるいは仏滅直後の経典編纂(へんさん)の参加者の数として、しばしば「五百」の数字があげられている。これに基づき、中国や日本で、500人の羅漢に対する信仰が生じ、五百羅漢像が彫られ、それを安置する五百羅漢寺が建てられるようになった。中国では「乾明院(けんみょういん)五百羅漢名号碑」に500人の羅漢の名が列記されたこともあるが、歴史的事実を表したものではない。日本で五百羅漢の像で有名な寺院に、大分県中津(なかつ)市耶馬渓(やばけい)の羅漢寺、埼玉県川越(かわごえ)市の喜多院(きたいん)、東京都目黒の羅漢寺などがある。京都市の大徳寺や東福寺などには五百羅漢の画幅がある。

[定方 晟]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五百羅漢」の意味・わかりやすい解説

五百羅漢
ごひゃくらかん

仏教で供養尊敬を受けるに値する 500人の人々。第1回,第4回の仏典編集会議に集った人々がそれぞれ 500人であったことから両会議の参加者をさしていう。また,確かな根拠はわからないが,中国,日本の禅宗で五百羅漢の崇拝が行われ,それに関する美術品も多い。

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デジタル大辞泉プラス 「五百羅漢」の解説

五百羅漢

古典落語の演目のひとつ。

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世界大百科事典(旧版)内の五百羅漢の言及

【羅漢】より

…釈迦の直弟子のうち高位のものはみな阿羅漢で,舎利弗(しやりほつ),目連(もくれん),迦葉(かしよう)などがいる。阿羅漢をまとめ,十六羅漢や五百羅漢に対する信仰も生じた。小乗仏教においては,阿羅漢は仏弟子の到達する最高の階位とされ,これ以上修すべきものがないという意味で無学ともいう。…

【羅漢図】より

…その絵画化は中国の六朝時代に始まっているが,唐時代に玄奘(げんじよう)によって《法住記》が訳出され,十六羅漢の名称,所在地などが明確となり,信仰が始まった。その後,仏教の教主釈迦への信仰が,法身から実在の釈迦へと移り変わるにつれて,羅漢信仰は盛んとなり,中国では宋以後,日本では平安時代以降,十六,十八,五百羅漢などのおびただしい作品が描かれ,現存遺品も数多い。羅漢の像容には一定のきまりはなく,主として顔の表情から禅月様,李竜眠様に大別されているが,そのような分類では律しきれない変化形式が生まれている。…

※「五百羅漢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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