立野信之(読み)タテノノブユキ

デジタル大辞泉 「立野信之」の意味・読み・例文・類語

たての‐のぶゆき【立野信之】

[1903~1971]小説家千葉の生まれ。軍隊での生活を経てはじめプロレタリア作家として活躍するが、検挙された後は転向現代史題材とした作品を執筆した。「叛乱はんらん」で直木賞受賞。「友情」は転向文学の先駆けとされる。他に「明治大帝」「軍隊病」など。

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20世紀日本人名事典 「立野信之」の解説

立野 信之
タテノ ノブユキ

昭和期の小説家,評論



生年
明治36(1903)年10月17日

没年
昭和46(1971)年10月25日

出生地
千葉県五井町(現・市原市)

学歴〔年〕
関東中学中退

主な受賞名〔年〕
直木賞(第28回・昭27年度)〔昭和28年〕「叛乱

経歴
中学時代から「国民文学」などに短歌を投稿する。中学中退後は「簇生」「千葉文化」「新興文学」などの創刊に参加する。大正13年入営し、除隊後はプロレタリア文学の作家、評論家として活躍し、短編標的になった彼奴」「軍隊病」や評論「プロレタリア文学の新しき前進方向」などを発表。昭和3年「戦旗編集委員、のち日本プロレタリア作家同盟書記などを歴任し、5年治安維持法違反で検挙されたが、転向を表明し執行猶予となる。転向後は「友情」「流れ」などを発表し、戦後は現代史に取材した「太陽はまた昇る―公爵近衛文麿」や28年直木賞受賞の「叛乱」や「黒い花」「赤と黒」「壊滅」「明治大帝」「日本占領」などを発表した。41年まで日本ペンクラブ専務理事を務めた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「立野信之」の意味・わかりやすい解説

立野信之
たてののぶゆき
(1903―1971)

小説家。千葉県に生まれる。私立関東中学中退。山田清三郎らと『新興文学』を創刊(1922)。のち2年間の軍隊生活を経たが、このときの体験をもとに『標的になつた彼奴(あいつ)』『軍隊病』(ともに1928)などの小説を発表、プロレタリア作家としての地位を築いた。その後『戦旗』編集長、ナルプ(日本プロレタリア作家同盟)書記長などを務めたが、やがて転向、転向小説の先駆けともなった佳作『友情』(1934)を発表した。第二次世界大戦後は、現代史に取材した小説を書き継ぎ、『叛乱(はんらん)』(1952~53)、『太陽はまた昇る――公爵近衛文麿(このえふみまろ)』(1953)、『明治大帝』(1956~58)その他を発表したが、とくに二・二六事件を描いた『叛乱』は第28回直木賞を受賞した。

[大塚 博]

『『日本現代文学全集69 プロレタリア文学集』(1969・講談社)』『『現代日本文学大系91 現代名作集 一』(1973・筑摩書房)』『立野信之著『青春物語・その時代と人間像』(1962・河出書房新社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「立野信之」の意味・わかりやすい解説

立野信之
たてののぶゆき

[生]1903.10.17. 千葉,五井
[没]1971.10.25. 東京
小説家。中学校中退後,農業,同人誌の発行などをしていたが,1924年入営,軍隊生活の体験に基づく『標的になつた彼奴』 (1928) でプロレタリア文学の新しい領域を開いた。 28年『戦旗』編集委員,30年日本プロレタリア作家同盟書記長。同年検挙され,転向文学として代表的な『友情』 (34) を発表。ほかに『太陽はまた昇る』 (51) ,『昭和軍閥』 (63) など。二・二六事件に取材した『反乱』 (52) で直木賞受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「立野信之」の解説

立野信之 たての-のぶゆき

1903-1971 昭和時代の小説家。
明治36年10月17日生まれ。軍隊体験をもとに昭和3年「標的になつた彼奴(あいつ)」「軍隊病」などを発表,プロレタリア作家として活動。6年転向し,転向文学の先駆けといわれる「友情」を執筆する。28年「叛乱(はんらん)」で直木賞。芸術院会員。昭和46年10月25日死去。68歳。千葉県出身。関東中学中退。作品はほかに「明治大帝」「昭和軍閥」など。

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367日誕生日大事典 「立野信之」の解説

立野 信之 (たての のぶゆき)

生年月日:1903年10月17日
昭和時代の小説家;評論家
1971年没

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