商人間または商人と商人でない者との間に、平常取引をなす場合に、一定の期間内の取引から生ずる債権・債務の総額につき相殺(そうさい)をなし、その残額の支払いをなすべきことを約する契約(商法529条)。これは、たとえば銀行と当座預金者間の預金返還債務と小切手支払いによる償還請求権の場合のように、交差的に債権・債務関係が存在する場合に、取引のつど現金決済することは煩雑であるばかりでなく、手数や費用もかかり、危険も伴うので、このような不利益を回避し、あわせて資金の無用な固定化を避けるために、債権・債務の決済方法として創造された技術的な制度である。交互計算期間は当事者間に特約がなければ6か月であり(商法531条)、この期間中に当事者間の取引から生じた債権・債務はすべて交互計算に組み入れられて独立性を失い、当事者は原則として各個の債権を行使したり他に譲渡することはできない(交互計算不可分の原則といい、その例外として商法530条参照)。交互計算期間が終了したときは当然に相殺の効果が発生し、残額債権が計算書の承認により確定する。
[戸田修三]
商人が,平常取引をなす相手と,一定の期間(特約がなければ6ヵ月)内の取引から双方に生ずる多数の債権を,期末にその総額につき一括相殺し,残額の支払をなすことを約す契約(商法529条)。双方の多数の金銭債権の決済を簡便にする方法。13世紀イタリア諸都市の銀行取引にすでに見られるが,法律制度として確立したのは17~19世紀のヨーロッパ大陸の学説,実務に基づく。交互計算に組み込まれた債権は,期間中は行使,譲渡も差押えもできない。残額の確定は,通常一方が各債権債務を項目とする計算書を作成し,他方が承認する。承認後は錯誤,脱漏ある場合を除き,各項目には異議を述べえない(532条)。確定残額は独立の債権となるが,契約終了前は次の期間の最初の項目となる。銀行の当座勘定契約が交互計算ともいわれるが,期末の総債権の一括相殺がなく,期間中の債権発生のたびに相殺がなされ,常に残額債権の形で存するので,亜種としての段階的交互計算というべきである。
執筆者:大塚 龍児
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