交戦団体(読み)コウセンダンタイ(その他表記)a belligerent community

デジタル大辞泉 「交戦団体」の意味・読み・例文・類語

こうせん‐だんたい〔カウセン‐〕【交戦団体】

国際法上の交戦者としての資格を認められた政治的反乱団体

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「交戦団体」の意味・読み・例文・類語

こうせん‐だんたいカウセン‥【交戦団体】

  1. 〘 名詞 〙 国際法上の交戦国と同様の交戦権を認められた団体。解放戦線の類。〔袖珍新聞語辞典(1919)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「交戦団体」の意味・わかりやすい解説

交戦団体
こうせんだんたい
a belligerent community

独立闘争革命闘争の過程で、闘争の主体たる反徒団体が一定の地域を実効的に支配し、事実上で、限定された地域の政府を樹立するに至ることがある。このようなとき、本国政府または正統政府、さらに第三国たる外国が、この団体を交戦団体として承認することができる。承認された団体は交戦団体とよばれ、国際法上の主体として一定の権利・義務担い手となる。

 すなわち、本国政府または正統政府が承認を行ったときは、これらの政府と、交戦団体の間の闘争関係は、国際法上の戦争となり、戦時国際法が適用される。その結果、国内法上の内乱罪殺人罪に関する法規は適用を排除され、闘争関係は対等のルールにのることとなる。また、本国政府または正統政府は、交戦団体の支配する地域における外国や外国人の権利を保護すべき義務を免れることができる。他方で、外国が交戦団体を承認したときは、交戦団体は、その支配する地域で、その外国または外国人の権利を保護すべき義務を負うとともに、承認した外国は闘争に対して国際法上の中立地位にたち、中立法規の適用を受ける。このように交戦団体承認の制度は、内乱がある程度以上に大規模化すると、これに国際法的規制をする必要が生じるため、18世紀末以来成立してきたもので、アメリカ南北戦争のときの南軍がもっとも有名な例である。しかし最近では交戦団体承認の例は跡を絶っている。

[石本泰雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「交戦団体」の意味・わかりやすい解説

交戦団体
こうせんだんたい
belligerent community

一国内に革命あるいは内乱が起り,反徒がその指導者を中心に軍隊をもち,その国のある地域を占拠,支配するにいたった場合において,外国または正統政府が,交戦権を有するものと認めた団体 (地方的政府) のこと。この団体の承認を交戦団体の承認という。この承認を受けた団体は,国際法上の主体として一定の地位と権利義務をもつ。外国による承認は交戦団体の支配地域に自国民が居住しているなど利害関係を有するとき行われ,正統政府による承認はその地域について国際責任を免れることを目的として行われる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「交戦団体」の意味・わかりやすい解説

交戦団体【こうせんだんたい】

国内の政治的反乱団体が一定の規模に達して国家領域の一部に実効的支配を及ぼすようになったもので,国際法上暫定的に国家に準じた地位を有する。交戦団体の承認は,この団体の支配地域に保護すべき自国の利益を有している外国の中立宣言などにより,ときに母国政府によっても与えられる。以後その団体は交戦法規,中立法規の適用を受ける。20世紀に入ってからは交戦団体の承認制度はほとんど利用されていない。
→関連項目内乱

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の交戦団体の言及

【承認】より

…これは,国の特別の監督下にある法人の予算・決算等の財務に対する国の関与の一形態として,国の機関の承認を受けるべきことが定められている例が多い(日本銀行法38条,放送法37条2項等)が,これとは異なって,国の行政処分たる許可・認可等と同義で承認の語が用いられたこともある(旧〈外国為替及び外国貿易管理法〉11条)。【中島 茂樹】
[国際法上の承認]
 〈国家の承認〉〈政府の承認〉および〈交戦団体の承認〉がある。国家の承認は,既存の国家が新たに成立した国家に国際法上の国家としての地位を認める行為である。…

【内乱】より

…他方,国際法は,一定の程度まで内乱には関知しない。しかし,反乱団体が国家領域の実質的部分を占拠・支配し,政府または第三国から交戦団体としての承認を受ければ,反乱団体は一定の範囲で国際法主体となり,双方の戦闘には国際法規が適用される。しかし現実には,合法政府側がかかる承認を行う例はほとんどない。…

※「交戦団体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android