人性論(読み)じんせいろん(英語表記)Treatise of Human Nature

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

人性論(ヒュームの著書)
じんせいろん
Treatise of Human Nature

イギリスの哲学者D・ヒュームの処女作で主著。第1巻の『知性論』、第2巻の『情念論』、第3巻の『道徳論』の全3巻からなる。1734~37年の滞仏中に書かれ、39~40年に刊行された。本書は「輪転機から死産した」という彼自身のことばどおり不評で、彼に匿名の推薦の小冊『摘要』や、後の改作『人間知性探究』を書かせることになった。しかし、1巻での因果律の批判、外界存在や同一性の問題の検討、第2巻での主要情念の解明、第3巻での理性と情念や道徳的評価の基準などの探究は、イギリス古典経験論の掉尾(とうび)を飾り、すこぶる重要な見解を含む。後の『人間知性探究』の見解との異同が問題となるが、優れた哲学的古典の一冊である。[杖下隆英]
『大槻春彦編『人性論』(『世界の名著32 ロック・ヒューム』所収・1980・中央公論社) ▽大槻春彦訳『ヒューム人性論』全4冊(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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