今泉嘉一郎(読み)いまいずみかいちろう

精選版 日本国語大辞典 「今泉嘉一郎」の意味・読み・例文・類語

いまいずみ‐かいちろう【今泉嘉一郎】

冶金技術者。群馬の人。官営八幡製鉄所技師として製鉄技術の基礎確立。のち、日本鋼管株式会社を設立。慶応三~昭和一六年(一八六七‐一九四一

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デジタル大辞泉 「今泉嘉一郎」の意味・読み・例文・類語

いまいずみ‐かいちろう〔いまいづみカイチラウ〕【今泉嘉一郎】

[1867~1941]冶金やきん技術者。群馬の生まれ。別子銅山の硫化鉄鉱処理による煙害防止などに先鞭。八幡製鉄所の創業従事、製鉄技術を確立。のち、日本鋼管を設立。著「鉄屑集」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「今泉嘉一郎」の意味・わかりやすい解説

今泉嘉一郎
いまいずみかいちろう
(1867―1941)

日本鉄鋼技術史上の功労者。工学博士。群馬県勢多(せた)郡花輪村(現、みどり市)に生まれる。1892年(明治25)帝国大学工科大学(現、東京大学工学部)採鉱冶金(やきん)学科を卒業。足尾銅山にも近い渡良瀬(わたらせ)川沿いの村で、当時まだ珍しい女医の子として成長した彼は、鉱害対策技術に深い関心を寄せ、在学中から別子銅山(べっしどうざん)の硫化鉄鉱処理による煙害防止、未利用資源開発などに先鞭(せんべん)をつけた。農商務大臣榎本武揚(えのもとたけあき)にみいだされ、その援助を受け、1894年から2年間ドイツ、フライベルク鉱山大学に留学、帰国後官営八幡製鉄所(やはたせいてつじょ)の創業に従事、同所の製鋼技術を確立に導き、主席勅任技師に進んだ。しかし鉄鋼業軍事でなく平和産業に結び付いて発展するとの信念のもとに、1912年友人白石元治郎と日本鋼管株式会社(現、JFEスチール)を設立、以後は民間技術分野の開拓に尽くし、また日本鉄鋼協会会長、日刊工業新聞社社長などを歴任し、大著『鉄屑集(てつくずしゅう)』(1930)その他優れた著作も残した。

[飯田賢一]

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改訂新版 世界大百科事典 「今泉嘉一郎」の意味・わかりやすい解説

今泉嘉一郎 (いまいずみかいちろう)
生没年:1867-1941(慶応3-昭和16)

鉄鋼技術者。上野国勢多郡東村出身。少年期に父を亡くしたが,当時としては珍しい女医であった母から大きな影響を受けて成長した。母常子は,〈浅田飴〉で有名な浅田宗伯のもとで修業し,地元で最も信頼される医者だった。嘉一郎は,帝国大学工科大学を卒業し,農商務省に入った。1894年技師としてフライブルク鉱山大学に留学し,西洋の製鉄技術に関しての知識に磨きをかけた。官営八幡製鉄所の設立計画に参画し,96年より工務部長代理として創業工務の責任を担う。1901年火入れ時より製鋼部長として活躍したが,民間鉄鋼業の創設の必要を説き,退職。12年日本鋼管を創立し,みずから技師長となり,継目なし鋼管技術の開発,トーマス製鋼法の利用,転炉技術の研究など鉄鋼技術史上重要な業績を残している。20年衆議院議員となり,製鉄事業の発展を促進。また,日本でのメートル法の採用にも貢献した一人である。
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百科事典マイペディア 「今泉嘉一郎」の意味・わかりやすい解説

今泉嘉一郎【いまいずみかいちろう】

製鉄技術家。群馬県の生れ。1892年帝国大学工科大学(東大)卒。農商務省に入ったのちフライブルク鉱山大学に留学,製鉄技術を学ぶ。八幡製鉄所の建設に尽力,同所の製鉄技術の基礎を確立。1912年日本鋼管を設立し,みずから大規模鋼管製造を指導した。ヘガネス法,トーマス製鋼法を導入するなど日本製鉄技術史上功績が大きい。1920年衆議院議員となり,鉄鋼業の発展に尽力した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「今泉嘉一郎」の解説

今泉嘉一郎 いまいずみ-かいちろう

1867-1941 明治-昭和時代前期の製鉄技術者,実業家。
慶応3年6月27日生まれ。農商務省にはいり,ドイツに留学。明治30年八幡製鉄所(現新日本製鉄)創設に参画。45年白石元治郎(もとじろう)らと民間初の製鉄会社日本鋼管を創立。大正9年衆議院議員。昭和16年6月29日死去。75歳。上野(こうずけ)(群馬県)出身。帝国大学卒。著作に「鉄屑集」など。

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