仙人峠(読み)せんにんとうげ

日本歴史地名大系 「仙人峠」の解説

仙人峠
せんにんとうげ

遠野盆地から北上高地の中央脊梁部を越えて釜石市に通じる険阻な峠。標高八八七メートルの峠を越える釜石街道は、古来内陸部と沿岸部を結ぶ重要な道であった。峠名は麓の千人せんにん沢の金山が崩れて坑道の千人が死亡したことによるとか、仙人が住んだことに由来するなどと伝える(遠野物語拾遺)遠野市側は上郷かみごう細越ほそごえ沓掛くつかけ釜石市側は甲子かつし町字大橋おおはし

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改訂新版 世界大百科事典 「仙人峠」の意味・わかりやすい解説

仙人峠 (せんにんとうげ)

岩手県南東部,釜石市と遠野市の境界にある峠。標高887m。北山の内陸部と陸中海岸を結ぶ峠の一つで,柳田国男の《遠野物語》にも,峠越えにまつわる奇談が紹介されている。釜石鉱山の開発に伴い,釜石側から大橋側まで釜石鉄道,遠野側からは足ヶ瀬まで軽便鉄道が通じたが,この間の仙人峠は急峻なため,自動車は通行できず荷物は峠越えの鉄索輸送に頼り,人は軽装で越えていた。1949年JR釜石線開通,59年国道283号線の仙人トンネル(2510m)が開通し,現在はほとんど利用されない。仙人トンネルを通る仙人有料道路(80年無料開放)により,釜石~遠野間はそれまでの笛吹峠越えに比べ約9km短縮された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仙人峠」の意味・わかりやすい解説

仙人峠
せんにんとうげ

岩手県南東部、釜石市(かまいしし)と遠野市(とおのし)の境界にある峠。標高887メートル。北上(きたかみ)高地の峠で、太平洋岸と内陸部を結ぶ交通路であった。難所であり、人は徒歩で越え、荷物は鉄索で運ばれた。自動車道は13キロメートル北方の笛吹峠(ふえふきとうげ)を越える県道を利用していたが、1959年(昭和34)峠の北方を国道283号の有料道路である仙人トンネル(2504メートル)が通じるようになり(現在は無料)、釜石―遠野間は大幅に短縮された。なお、2007年(平成19)に峠の南方の新仙人トンネルで気仙(けせん)郡住田町に抜ける国道283号のバイパスが開通し、さらに短縮された。峠付近は紅葉の名所。

[川本忠平]

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百科事典マイペディア 「仙人峠」の意味・わかりやすい解説

仙人峠【せんにんとうげ】

岩手県の釜石・遠野市境にある峠。標高887m。急坂のため古くから交通の難所として知られ,釜石線も約4km南を迂回(うかい)しているが,1959年仙人トンネル(2528m)を含む約10kmの有料道路が開通。1980年無料開放。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仙人峠」の意味・わかりやすい解説

仙人峠
せんにんとうげ

岩手県南東部,遠野市と釜石市の境にある峠。標高 887m。交通の難所であったが,1959年峠の北側を国道 283号線の有料道路である仙人トンネルが通じ,遠野-釜石間は大幅に短縮された。現在仙人トンネルは無料開放。

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