釜石市(読み)カマイシシ

デジタル大辞泉 「釜石市」の意味・読み・例文・類語

かまいし‐し【釜石市】

釜石

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「釜石市」の解説

釜石市
かまいしし

面積:四四四・八一平方キロ

県の太平洋岸やや南寄りに位置し、東は御箱おはこ崎・馬田また岬・崎・死骨しこつ崎などの諸岬が洋上に突き出し、大槌おおつち湾・両石りよういし湾・釜石湾唐丹とうに湾を形成する。西端には五郎作ごろさく(九二七・二メートル)大峰おおみね(一一四七・五メートル)愛染あいぜん(一二二八・五メートル)五葉ごよう(一三四一・三メートル)など北上高地が北から南に走り、これら稜線を境に遠野市・気仙けせん住田すみた町・大船渡市に接し、南は支脈の一つ荒金あらがね(七六〇メートル)鍬台くわだい(五一九・八メートル)などの尾根を境に気仙郡三陸さんりく町、北はオイネガ森(六六四・九メートル)葡萄ぶどう(五八七・九メートル)などを境に上閉伊かみへい郡大槌町に接する。鵜住居うのすまい川・甲子かつし川・片岸かたぎし川・熊野くまの川などが北上高地を水源とし、ほぼ西から東に流れて海に入る。延長二〇キロ前後、落差が大きく深く山を削って渓谷となり、流域には小平地が点在するにすぎない。市街地は甲子川下流および河口にできた小三角洲を埋立てて造成、前方には釜石湾があり背後三方は急峻な山で囲まれる。

「貞山公治家記録」慶長六年(一六〇一)七月七日条に「閉伊郡釜石邑」とみえる。大橋おおはし高炉近辺の古絵図(大島家蔵)に、甲子川の中流河畔に大岩を描いて「釜石」と注記される。釜石の地名の由来であろう。華厳院法印泰堂補遺(阿曾沼興廃記)には「釜石甲子浦平田是一村也」とあり、初めは甲子川流域一帯をさす地名であったと思われる。なお市域は気仙郡に属していた唐丹町を除き、明治一二年(一八七九)まで閉伊郡、以後南閉伊郡、同三〇年以後上閉伊郡に属した。

〔原始〕

市内に五十数ヵ所の考古遺跡があるが、これらを時代別にみると、縄文期四九・弥生期一、土師器須恵器の出土地四などとなっており、ほとんどが縄文期で、それもおもに中・後・晩の三期によって占められる。分布地は海岸に多く、北方大槌湾に臨んで片岸上かたぎしうえさわ・鵜住居・上前畑かみまえはた箱崎はこざき白浜しらはま大沢おおさわ、両石湾に仮宿かりやど水海みずうみ、釜石湾北部にヤカタ浜貝塚・いずみ、釜石湾南部に千代ちよはま尾崎白浜おさきしらはま青出あおだし、唐丹湾に本郷大曾根ほんごうおおそね大石おおいしなどの遺跡がある。内陸部では甲子川流域に洞泉どうせん松倉まつくら野田のだれいぐち大天場山たいてんばやま、鵜住居川上流に太田林おおたばやし沢檜さわひがある。礼ヶ口からは縄文中・後期の遺物のほかに弥生式土器・土師器などが伴出、大天場山からは縄文中期の石槍・石剣・耳飾などのほか土師器・須恵器が伴出した。

〔古代・中世〕

釜石地方の古代・中世に関する記録は皆無にひとしく、わずかに後世の書物、諸家の系譜、寺社の縁起などによって幾分か推測されるにすぎない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「釜石市」の意味・わかりやすい解説

釜石〔市〕
かまいし

岩手県南東部,太平洋に面し,三陸海岸南部にある市。市域の西部は北上高地の丘陵地帯,東部は太平洋で,釜石湾を中心に北に大槌湾,両石湾,南に唐丹湾がある。釜石湾の湾奥に釜石港があり,その北部に市街地が形成されている。1937年市制。1955年甲子村,鵜住居村,栗橋村,唐丹村の 4村と合体,現市域となる。町名はアイヌ語に由来するといわれる。安政4(1857)年盛岡藩士,大島高任が西部の大橋に洋式高炉を建設,日本で最初の近代製鉄法による鉱石精錬に成功し,近代製鉄発祥の地となった。それを引き継ぐ新日本製鐵釜石製鉄所(→新日鐵住金)を有し,三陸漁場の中心基地であることから,釜石経済は「鉄」と「魚」に依存を続けた。1980年代以降鉄鋼業の不況から合理化が進み,1996年にはその象徴である第1高炉が解体された。1896年の明治三陸地震津波,1933年の昭和三陸地震津波,第2次世界大戦時の艦砲射撃,また 2011年には東北地方太平洋沖地震に伴う津波により大きな被害を受けた。橋野町に残る国の史跡,橋野高炉跡鉄鉱石の採掘所跡,運搬路跡を含む橋野鉄鉱山が「明治日本の産業革命遺産:製鉄・製鋼,造船,石炭産業」として,2015年世界遺産の文化遺産に登録された。北部の御箱崎の南約 1kmにある,三貫島オオミズナギドリおよびヒメクロウミツバメ繁殖地は,国の天然記念物。海岸は三陸復興国立公園に属する。釜石駅は JR釜石線,山田線の起点で,三陸鉄道南リアス線と結ぶ。三陸海岸沿いに,半島の基部を結んで国道45号線が,市域の中央を国道283号線が横断。面積 440.35km2(境界未定)。人口 3万2078(2020)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

グレーゾーン解消制度

個々の企業が新事業を始める場合に、なんらかの規制に該当するかどうかを事前に確認できる制度。2014年(平成26)施行の産業競争力強化法に基づき導入された。企業ごとに事業所管省庁へ申請し、関係省庁と調整...

グレーゾーン解消制度の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android