株式会社または有限会社において,会社が取締役などに対し損害賠償などの請求権を持ちながらそれを行使しないときに,株主(有限会社の場合は社員)が会社に代わって提起する訴訟。アメリカ法のderivative suitにならって1950年の商法改正でとり入れられた制度であり,代位訴訟,派生訴訟ともいわれる。株式会社において会社の請求権を行使するのは取締役であるが,その行使を怠ることがありうるので,株主の利益を保護するためにこの制度が認められる。取締役が違法な行為をして会社に対し責任を負う場合に,株主がそれを追及する手段としての代表訴訟について,要件や手続がくわしく定められており(商法267条~268条ノ3),その規定が監査役(280条1項),発起人(196条),清算人(430条2項)の責任追及に準用される(なお,有限会社法31条,34条1項,75条2項,保険業法51条2項,53条2項参照)。1993年商法改正により,賠償請求の額にかかわりなく訴訟費用が一定額ですむことが明定されて以来,代表訴訟の件数が増加する傾向にある。このほか,著しく不公正な価額で新株を引き受けた者(商法280条ノ11-2項),株主権の行使に関し会社から利益供与を受けた者(294条ノ2-4項),および短期の内部者取引で利益を得た役員,主要株主(証券取引法189条2項)に対しても,株主が代表訴訟を提起することができる。
執筆者:龍田 節
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