仮名暦(読み)カナゴヨミ

デジタル大辞泉 「仮名暦」の意味・読み・例文・類語

かな‐ごよみ【仮名暦】

昔、仮名で書いた暦。漢字で書いた「真名暦まなごよみ」に対して女子用の暦をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「仮名暦」の意味・読み・例文・類語

かな‐ごよみ【仮名暦】

  1. 〘 名詞 〙 仮名で書いた暦。当初、漢字で書いた真名暦具注暦に対して女子用のものとして発生したが、のち暦の主流を占め、版暦として流布した。通常平仮名を主とし僅かに漢字を用いるが、まれに片仮名のものもある。
    1. [初出の実例]「なま女房のありけるが、人に紙乞ひて、そこなりけるわかき僧に、仮名暦書きてたべといひければ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仮名暦」の意味・わかりやすい解説

仮名暦
かなごよみ

日本の暦書で仮名書きにしたものをいう。普通は平仮名で書かれるが、片仮名書きのものもある。漢字ばかりで書かれた具注暦(ぐちゅうれき)に対して平仮名書きのものを草暦(そうれき)ともいう。平安時代末期ごろから手書きの仮名暦が発生し、仮名の普及に伴って一般庶民の間に広まった。需要の増大とともに各地方に暦を版行する暦師が発生した。今日知られている地方版暦には、京都の大経師(だいきょうじ)・院経師(いんきょうじ)の京暦、奈良の陰陽師(おんみょうじ)の版になる南都暦、伊勢(いせ)丹生(にゅう)の丹生暦、泉州信太(しのだ)の泉州暦、伊勢山田の外宮(げくう)および宇治の内宮の暦師の版行する伊勢暦、伊豆三島の三島暦、江戸の暦問屋の江戸暦、会津若松会津暦、鹿児島の薩摩(さつま)暦、幕末になると仙台暦、秋田暦など。これらは貞享(じょうきょう)改暦(1684)以後は公に認められた暦である。ほかに大宮暦(埼玉県大宮)、大坂暦など名称だけ残って実物の現存しない幻の暦もあった。

[渡辺敏夫]

『渡辺敏夫著『日本の暦』(1976・雄山閣出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「仮名暦」の意味・わかりやすい解説

仮名暦 (かなごよみ)

漢字のみで書かれた具注暦に対して,主としてかなを用いている暦。平安時代の末期のころ発生したと推定されるが,現存する最古の仮名暦は1226年(嘉禄2)の暦である。初めは具注暦をそのままかな交りにしたような形式であったが,しだいに独自の発展をした。仮名暦の出現によって暦は一般庶民のものとなり,各地に暦師の勃興を促し広範囲に普及していった。仮名暦はふつうはひらがなであるがまれには片仮名暦もある。
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世界大百科事典(旧版)内の仮名暦の言及

【暦】より

…ふつう暦という場合,暦法のことをいうこともあるが,ここでは暦本について述べる。暦にはその内容によって具注暦と仮名暦があり,ごく特殊なものとして七曜暦がある。暦を一般に頒(わか)ち配ることを頒暦(はんれき)というが,ふつうは頒暦といえば仮名暦のことである。…

※「仮名暦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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