元帳(読み)モトチョウ(英語表記)ledger

翻訳|ledger

デジタル大辞泉 「元帳」の意味・読み・例文・類語

もと‐ちょう〔‐チヤウ〕【元帳】

簿記で、すべての勘定口座を設け、取引仕訳帳から転記して各勘定別に記録・計算する帳簿総勘定元帳

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精選版 日本国語大辞典 「元帳」の意味・読み・例文・類語

もと‐ちょう‥チャウ【元帳】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代収支基礎となる原簿、または収納台帳をいう。
    1. [初出の実例]「上納の度々当番の手代請取の役処元帳と通ひにしるし、金銀に添元帳手代へさし出せば」(出典:地方凡例録(1794)七)
  3. 会計帳簿の主要なもの。勘定科目ごとに口座を設け、それぞれの増減・変化を記録・計算する。
    1. [初出の実例]「当日其所に於て会社の元帳を開くへし」(出典:会社弁(1871)〈福地桜痴〉諸会社取建の手続大要)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「元帳」の意味・わかりやすい解説

元帳
もとちょう
ledger

企業会計の主要な帳簿の一つで、すべての勘定口座が開設されているものである。複式簿記では、まず日々の取引(会計上の記録を必要とする事象)を日付順に借方科目と貸方科目を設定して整理する。そのような記録をした帳簿を仕訳帳というが、この仕訳帳の記録は、次の段階において借方と貸方の別に各勘定へ転記される。その勘定あるいは勘定口座のすべてを収納して、勘定別の発生記録やその残高が確認できる帳簿を元帳あるいは総勘定元帳という。仕訳帳と元帳は2大主要簿といわれる。

 古くは、簿記における仕訳帳から元帳への転記は手作業でなされており、この作業での誤記入とその修正が重い業務となっていたが、コンピュータの普及した現代において転記は自動的に進行し、その種の誤謬(ごびゅう)はなくなったといってよい。

 総勘定元帳のうち取引の多いものあるいは内容の詳細を記入する必要があるものについては、当該勘定口座の内訳明細を記帳する補助元帳を活用することがある。たとえば売掛金勘定に対しての得意先元帳、買掛金勘定に対しての仕入先元帳などが知られている。補助元帳を利用する場合には、総勘定元帳への記録は、一定期間をまとめた合計での記帳に簡略化することが可能になる。

 元帳は、企業会計の目的である財務諸表を作成するための基礎的で網羅的な記録が保持されている帳簿であるから、これを基にして、簿外で試算表精算表が作成されながら、最終的には財務諸表としての貸借対照表損益計算書が作成される。決算によって1会計期間(通常は1年)の会計データの確定が終われば、元帳の各勘定は締め切られ、資産、負債純資産(資本)の残高は、次の会計期間に繰り越される。これら一連の過程は簿記一巡の手続とか決算手続といわれる。

[東海幹夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「元帳」の意味・わかりやすい解説

元帳
もとちょう
ledger

取引は簿記上,仕訳を経て勘定口座 (簿記計算の単位) に記録されるが,元帳はこの勘定口座を全部集成したもので,本来の簿記計算に直接関係のない仕訳帳や日記帳などに対応する会計帳簿の中心的存在である。元帳には企業のすべての財産,資本の増減が勘定科目に分解されて日々記入されるので,元帳を見れば企業の財産の状態,営業成績を概観することができ,また決算日など特定時点で締切れば貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成が可能である。したがって元帳は簿記計算のうえで仕訳帳による原始記録から決算財務諸表という企業活動の結論を導き出すための不可欠のものといえる。しかし経営規模の拡大や取引の増大に伴う会計処理業務の複雑化から,会計帳簿の分化,再編が必要とされてきたため,元帳も個々の勘定口座に内訳を設けた多桁式のものや,本社関係の総勘定元帳と工場関係の工場元帳に分離されるなど次第に変化してきている。

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百科事典マイペディア 「元帳」の意味・わかりやすい解説

元帳【もとちょう】

総勘定元帳または補助元帳をいう。
→関連項目伝票

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改訂新版 世界大百科事典 「元帳」の意味・わかりやすい解説

元帳 (もとちょう)

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世界大百科事典(旧版)内の元帳の言及

【会計帳簿】より

…企業が財産と損益の状況を明らかにするため作成する帳簿で,会計事実の原始的記録である日記帳,これを貸方借方に仕訳する仕訳帳およびこれを勘定として整理する元帳などの主要簿とそれらを補充する各種の補助簿がある。すべての商人は会計帳簿を作成し,(1)開業のときおよび毎年1回一定の時期における営業上の財産およびその価額,会社では,成立のときおよび毎決算期における営業上の財産およびその価額,(2)取引その他営業上の財産に影響を及ぼす事項を記載しなければならない(商法33条1項)。…

【勘定】より

…企業における勘定科目とその配列とを一覧表示したものを勘定科目表という。 勘定科目ごとに記録・計算する場所のことを勘定口座といい,勘定口座を提供している帳簿を元帳という(〈帳簿〉の項参照)。勘定口座の形式は,標準式と残高式とに大別される(図参照)。…

【決算】より


【企業会計上の決算】
 元帳の勘定記録に基づき,元帳勘定を締め切ることを決算closing the booksという。複式簿記では,企業活動を通じ企業の資産,負債および資本に影響を与えるいっさいの事象を取引と呼び,取引によってもたらされる相対立する二つの価値の流れ(たとえば商品の購入取引の場合,一方で商品という資産の増加と他方で現金という資産の減少というプラス量とマイナス量との価値の流れ)を2面から(複式で)記録する。…

【帳簿】より


[主要簿]
 主要簿とは会計の具体的実践用具である複式簿記の機構上不可欠の帳簿をいう。複式簿記では仕訳帳によって取引発生順の記録を完成し,元帳記入の基礎資料とし,元帳においては勘定科目別の増減変動記録を行い,内部管理上の資料および財務諸表作成の基礎資料を完成する。取引発生順の記録は企業の経済活動の歴史的記録であり,よって仕訳帳の記録は経済活動の縦の記録であるのに対して,元帳の記録は計算単位別の横の記録である。…

【年貢割付状】より

…御成箇割付(おなりかわりつけ),可納割付(かのうわつぷ),免状,下札(さげふだ)ともいう。幕領代官所には年貢割付あるいは下帳・元帳という台帳が作成される例があり,成箇郷帳(なりかごうちよう)(取箇郷帳),年貢皆済目録(ねんぐかいさいもくろく)とともに地方(じかた)三帳と称し,農村支配のための基本的な年貢徴収の帳簿であった。毎年,秋の収穫前に検見(けみ)を行い,その結果にもとづいて作成される。…

※「元帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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